前回は西陣メーカーさんが安売りに対抗してどう行動したのかをご紹介しましたが、今回はとある百貨店が取った行動についてお話します。
これも私が体験した実話です。
今は昔の話。
皆さんは梨乃景色というブランドをご存知ですか?
東レシルックというポリエステルでは最高峰の生地を使い、女優さんをモデルにしたブランドです。
数社の合繊着物メーカーが梨乃景色ブランドで着物を染めています。
定価が決まっていて百貨店や専門店も定価販売しているもので、私も定価で販売していたのですが、私は仕立て代をサービス(仕立て込みで定価で販売)していました。
ある時、チラシに仕立て代サービスとうたい掲載したところ、奈良の学園前にある店舗で1日で売り切れしてしまいました。5反入れて5反完売。
それも仕立てもせずにです。
店舗の従業員さんも全て売れて嬉しい反面 不自然に思っていたのですが、
この購入された5反の着尺…
全て製造メーカーに返品されていたのです。
※このメーカーさんとは個人的に懇意にしていたので直接聞きました。
どういう事なんでしょう?
経緯はこう。
奈良の学園前に住んでいた某百貨店(超大手)の呉服バイヤーさんが偶然チラシを見つけ、そこに定価ではあるものの仕立て代をサービスしている事に気付き店頭から商品を消すために購入したのです。(実際には中間業者に指示を出して購入させたと思います。)
ここまでなら前回の西陣メーカーさんと同じなのですが、ここからが違います。
購入した着尺をメーカーに返品して購入代金を回収したんです。。。
それも原価ではなく店頭で購入した売価で・・・
メーカーさんには何の責任もありませんが、日頃の取引の事もあって返品拒否することが出来なかったのです。
こんなことって許されるの?
いいえ許されません。
それでは今日はここまで。
店主 筑摩和之