【製作者】久保原由佳理
【品質】絹100% 純国産絹(綿秋×鐘和) 製糸:碓井製糸(株)
【染色】草木(阿仙・ログウッド・渋木・柳・刈安)
【製織】手織り(高機)
【着用時期】9月~翌年6月頃(7月8月の盛夏を除く袷・単衣の季節)
【長さ】仕立て上がり約370cmにさせて頂きます。
※最大:約395cm程度まで対応可能
ご希望の長さがありましたらご注文の際、フリー記入欄に記載ください。
北アルプスを間近に望む長野県 安曇野市の工房で多彩な技法を用いて作品作りをされている久保原由佳理さん。自ら選定した糸を精錬 糸撚りし、草木染を施し手織りする。全ての工程をご自身の手で行うがゆえに久保原さんの感性や想いの全てが作品に宿り私たちの心に響く作品が生まれるのです。
斜めに走る綾織りの目に草木染のまろやかな揺らぎ色といった豊かな工芸味がシンプルな縞の意匠の奥底から滲み出る魅力を際立たせるとともに、スタイリッシュな大人感覚の着姿に仕上げてくれるのです。
綾織
斜めに走る織り目が特徴の綾織。この布に触れた時に感じるしっとりとした瑞々しい感覚。綾織特有の弾力性と肉厚感が生み出す肌に吸い付くような風合いに作り手の温もりが感じられるのです。
しなやかさと伸縮性はギュッと締まる抜群の締め心地の良さをご堪能いただけるに違いありません。
横縞は直線ではなく立湧状の曲線に打ち込まれています。この僅かな線の揺らぎが単なる縞模様に動きのある豊かな表情を醸し出すとともに手仕事が放つ息吹を感じさせるのです。
草木染で染め上げられた様々な茶系のカラーリングはシンプルな縞に単調さを全く感じさせず、無機質になりがちな直線に豊かな表情をかもし出します。同系色を用いた多色縞の発想は有りそうで無いのです。それは草木染が放つ色彩の豊かさゆえに昂る作り手の欲求の現れと言えるのかもしれません。そして、同系の多色でまとめる色彩感覚こそが工芸に軸足を置いた染織作家の拘りと言えるのです。
草木染の息吹を感じて
化学染料では感じることの出来ない草木染の魅力とは何なのでしょうか。
草木染料に混ざった天然の有機物が作用し、目の前に映る色の奥に更に重なり合った色が見え隠れすると言えばいいのでしょうか。
じっと見ているとそれが本当に何色なのかが分からなくなる感覚に陥ってしまい、それこそが草木染だけが持つ”色の深み”と言うものなのかもしれません。
そして草木染の色は日々変化していきます。しかしその歩みはあまりにも遅く目に見えて変わるものでは有りません。
草木染料は染められた後も歩みを止めず糸に浸透していくのだそうです。そして浸透するにつれて徐々に深みが増して色が変化していくのです。
お客様の手元に渡ってからも日々成長していく草木染。その成長は実感できないかもしれません。しかし間違いなく貴女と共に人生を歩んでいるのです。身に着ければ身に着けるほど、時が経つほどに愛着が湧いてくるに違いありません。
横段の縞模様は均一ではなく線の太さや色、そして配置に変化が付けられています。ここでも単調になりがちな縞模様に表情を付けています。手織りだからこそ可能になる僅かな変化、シンプルな縞柄だからこそ安価な機械織りでは味わえない豊かさとともに明らかに一線を画する魅力が感じられるのです。
新品なのに使い込んだかのような馴染み
ふっくらとした優しい地風は初めて使用するときから体に馴染みます。糸撚り、精錬に工夫を凝らし「使えば使い込むほどに柔らかくなる」という概念ではなく、最初から使い込んだかのようなに仕上げられており、師である本郷孝文さんの「着心地の良さを追求する」という心得を踏襲されているのです。
手にした瞬間から草木染の深み色、手織りの温もりと相まって何とも言えない安らぎを感じさせる布をお楽しみいただけるに違いありません。
縞の歴史
現代ファッションにとどまらず生活全般において当たり前のように存在する縞模様、生活に根付くこのストライプに何故我々は愛着を抱くのでしょうか。
縞の歴史は古く、飛鳥時代高松塚古墳の壁画に縞柄の衣服を身につけている女性が描かれているのが発見されています。また奈良正倉院の宝物にも縞柄のものが見受けられます。
しかし、その後の文献では縞柄の衣服を身につける習慣はあまり無かったようです。安土桃山時代から江戸時代初期、ヨーロッパの国々がアジアやアメリカなど他の大陸に進出していった大航海時代の頃、ポルトガルやスペインから多様な縞模様の織物が東南アジアを経て日本に伝来してきました。島々から渡ってきたことから「嶋」という当て字から「しま」と呼ばれるようになったようです。また同じ頃、中国から渡ってきた縞の絹織物を「間道(かんどう)」と呼び、美しい色彩で織り上げられた織物は洗練された趣を漂わせ、茶人や文化的な人々から注目され広まって行きました。
文化文政時代(1800年代初め)の頃には単純明快な縦縞が、端正な品格と粋な渋みを持つものとして大流行し「縞」の字が当てられたと言われています。
そして、現代においても平行線の単純なデザインながらも多様なバリエーションで変化が楽しめる縞柄は、江戸時代から脈々と続く人々のお洒落心の中に根付き、無くてはならない身近な存在になっているのです。
純国産絹
蚕品種:綿秋鐘和(きんしゅうしょうわ) 製糸:碓井製糸(株)
蚕品種「綿秋鐘和」は糸が細く繭の光沢が良いのが特徴です。
久保原由佳理さんは素材にも拘り純国産絹を使用されています。日本国内において国産絹の割合は1%にも満たないほどに希少です。国内でしっかりと管理されて作られる絹糸は品質のばらつきが少なくしなやかで格別の光沢を放つのです。
手織りの温もり しなやかさ
「とんとん♪ とんととん♪」北アルプスの空気を感じながらただひたすら機に向かい緯糸を打ち込んでいく。布の声を聞きながら糸を労わるように、しかし力強く織り進める手織りの作業は、常に心を乱す事が許されない正確さが求められます。それは自分自身と向かい合い我を見つめ直すかのような作業であり、集中力と根気強さを必要とします。高度な技術と人の感度によって、糸の状態や湿度などを見極めて打ち込み具合を加減する。機械織りでは感じられない優しさは人の手がもたらす温もりであり、体に沿う締め心地の良さが手織り最大の魅力なのです。
久保原由佳理
1969年 長野県 松本市で生まれ育った久保原さん。大学卒業後、染織の道に進みたいと思い、民芸運動の祖である柳宗悦氏の甥、柳悦博さんとその息子さん崇さんの元で3年間染織を学ばれた後帰郷し本郷孝文さんに6年間師事。2001年に独立されました。
多彩な製織技法を駆使して生まれる作品の数々は糸の選定から草木染、機織りまで一人でこなすがゆえにダイレクトに思いが宿ります。染織界においてはまだまだ若い感性によって生まれる作品は伝統美と現代美が融合し、現代の街並みやシーンに溶け込む洗練された雰囲気を漂わせ、着姿をスタイリッシュに仕上げてくれるのです。
「美しさとは何なのか」制作活動に行き詰まると北アルプスの自然を眺め答えのない何かを探しながら作品作りに励まれています。
現在は本郷孝文さんの工房で知り合われた大月俊幸氏とご夫婦で各々が染織作家として活動されています。
久保原由佳理 染織の魅力を存分に感じて頂ける九寸名古屋帯。上質な絹の光沢、草木染の深み色、手織りの温もり、お召しになる方を想い制作される作者の情熱と心遣いが感じられるのです。
本品は美しいキモノ2024年秋号に掲載されたお品ですので特別感を合わせてお楽しみください。
スポットガーデン 筑摩和之
※写真と実物ではご覧のモニター環境などにより若干色が違って見える場合がございます。
※価格にはお仕立て代は含まれておりません。本ページ内のオプションから選択し商品と同時に購入してください。
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【お仕立てについて】
お仕立て期間:名古屋帯仕立て 約4週間 開き仕立て 約5週間
※年末年始 GW お盆など長期休暇を挟む場合は7日~10日ほど余分にかかりますのでご了承ください。
※国内手縫い仕立て
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てる
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけない
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て
※裏地の色はお任せになります。
●松葉仕立てをご希望の場合は「開き仕立て」を選択の上、ご注文手続き画面内、フリー記入欄に「松葉仕立て」とご記入ください。
【帯ガード加工】・・水分を弾く加工・・3,240円
・雨やお食事時にも安心