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染元設定価格 418,000円
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伊勢型
人間国宝 南部芳松
彫師×染師 神業の競演
作品名:更紗に流水
浜紬 栗真綿
【型紙製作者】南部芳松 人間国宝 突彫り 国の重要無形文化財技術保持者
【染元】染処古今(所在地:京都)
【品質】絹100%:浜紬 栗真綿
【生地幅】約38.5cm(裄丈約71cm 1尺8寸8分まで対応)
【着用時期】9月頃から翌年6月頃(袷・単衣の季節)
エキゾチックな存在感やしっとりとした女性らしさを漂わせる更紗に流水模様が古典的な趣を漂わせ優雅かつ粋な着姿を演出します。
神業とも言える彫師の手仕事、研ぎ澄まされた染師の感性が融合する事によって完成される伊勢型小紋。
連なる線が奏でる旋律の様な型紙の美しさ、染め上がった布が放つ煌めき。それらは卓越した職人技によって生み出されるのです。
本品は、突彫りの重要無形文化財技術保持者人間国宝 故)南部芳松氏が彫り上げた伊勢型紙を用い、伊勢型専門染工房「染処古今(そめどころここん)」によって染め上げられた作品です。
【伊勢型紙】
楮だけですいた美濃和紙に接着剤として柿渋の液を塗り、数枚貼り合わせたものが地紙(型紙の元)になります。
彫刻刀や小刀のような専用の道具を用いて地紙を彫り柄を作っていきます。
※錐彫り、突彫り、道具彫り、縞彫りなど彫り方によって刃先の形状が異なり、細かな柄になればなるほど卓越した技術が必要である事は言うまでも有りません。
錐(きり)彫り・・もっとも古くからある彫り技法、半円形の刃先の小刀を用い、丸い小さな穴を無数に開けてあらゆる文様を作り出します。小紋三役と呼ばれる鮫、通し、行儀といった文様は錐彫りの技法で彫られます。
突彫り・・友禅などやや大柄の文様を彫るのに適しています。細長い三日月型の小刀を使います。傾斜の付いた机の上に地紙を数枚重ねて穴板の上に置き、垂直に突く様にして小刀を彫り進めます。
道具彫り・・小刀の先が花、扇、菱などの形に作られているものを突いて彫り抜く技法。錐彫りとともに小紋用に最もよく用いられます。
縞彫り・・毛髪の様に微細な筋を何百本も彫って極細の縞柄を作る技法。
型紙は一度に数枚重ねて彫られます。出来上がった型紙は一定数染めると劣化して使えなくなるそうです。ゆえに型紙がすべて寿命を迎えた時その柄は終了となるのですが、その前に製作者な亡くなったとしても死してなお製作した型紙から作品が生み出されるという事に感動や深みを感じるとともに、いずれは型紙が役目を終えて消え去ってしまうという有限さに、儚さやノスタルジックな感情が湧き出るのです。
本作品に関しても、製作者 南部芳松氏はお亡くなりになっていますので、型紙が寿命を迎えると同時に二度と染める事は出来ません。
【伊勢型紙で染める】
板に貼られた白生地に型紙を置き防染糊を引いていきます。型に開いた隙間を通して生地に防染糊が付く事でその部分に色が染まらないようにします。
型紙を順番に送りながら糊を置いて行く作業は、染め上がった際に型紙の継ぎ目が分からないよう寸分の狂いも許されません。この工程が染め上がりの良し悪しに直結してしまう為、正に神業とも言える糊置きの技術が必要なのです。
墨染めぼかし~新たなる創造
柄を見ると黒っぽく暈したようになっているのがわかります。
通常の伊勢型染においては柄の色は単色なのですが、友禅染や紅型染のように色が変化しています。
糊を置いて防染した後、黒く染めたい部分に墨を混ぜた染料を擦り込みます。
墨染めの濃さを調節する事で黒さの濃度が変わります。
乾かした後に、メインの柄色を上から染めていきます。そのように重ね染めする事で、下染の黒が浮き出し、柄に奥行きが生まれて表情豊かに染め上がります。伊勢型紙という工芸品に、染師が創意工夫を加える事で伊勢型染に新たな魅力が創造されたのです。
浜紬 銀杏真綿
染め地に用いられているのは浜縮緬でお馴染みの滋賀県長浜市を産地とする紬織物です。
縮緬を織った後の残糸を使って織られ始められ、次第に野蚕糸や真綿紬糸など様々な素材の糸が緯糸に用いられるようになり発展し、浜紬として世に知れ渡るようになりました。
縦糸には縮緬同様の無撚りの生糸が用いられ緯糸に真綿紬糸が打ち込まれていますので、しなやかな縮緬の魅力を併せ持つ独特の風合いに仕上げられています。
銀杏真綿・・本品に用いられている真綿糸が部分的に茶色くなっています。これは銀杏の葉を食べたお蚕さんがはき出す絹が銀杏が持つタンニンの影響で茶色く変化している為です。
ぜんまい紬や栗繭紬にも似た素朴で味わい深い布に仕上がり、真綿の温もりと相まって自然の優しさに包まれているかのような感覚をお楽しみいただけます。
※生地には栗真綿紬と記載されていますが、本生地においては栗ではなく銀杏の葉を食べたお蚕さんが吐き出した絹です。
【伊勢型の歴史】
三重県鈴鹿市白子町、寺家町を産地とする伊勢型紙。
応仁の乱によって京都から逃げ延びてきた人々の中に型紙職人がいた事から伊勢型紙の産地となったと伝えられていますが、その歴史は定かではありません。
また、鈴鹿市にある子安観音寺には、今から1200年ほど昔 久大夫という翁が不断桜の落ち葉の虫食い跡がとても面白く、紙を切り抜き模様に仕立てる事を思いついたことが伊勢型紙の発祥という言い伝えも残っています。
その伊勢型紙を江戸を中心とした染屋が購入し、染師らの手によって染め物が生産されていました。江戸時代には武士の礼服である裃の模様として定められるようになり、武士達は競うようにより細かく高度な柄を求め伊勢型の技術が向上し発展して行きます。将軍や大名などは決まった模様が決められ、他のものがその柄を使用できないよう「留柄」「定め柄」とされていました。
その後江戸の町人らにも広がり、奢侈(ししゃ)禁止令(贅沢を禁止し倹約を推奨する命令)が出される中、遠目には地味に見える小さな柄の中に遊び心を取り入れた粋で洒落た柄を求め男女ともに流行していったのです。
その後、伊勢型で染められたものが江戸小紋と呼ばれるようになりました。
昭和30年 第1回 人間国宝 国の重要無形文化財技術保持者に、突彫りの南部芳松氏、道具彫りの中村勇二郎氏、錐(きり)彫りの初代 六谷梅軒氏が認定されました。
【柄名 更紗に流水】
扇のような形で表現された花をあしらった更紗模様に、水の流れを現した流水を組み合せています。エキゾチックな存在感やしっとりとした女性らしさを漂わせ、銀杏真綿の素朴さと相まって唯一無二の魅力をお楽しみいただけます。
更紗・・今から4,000年もの昔よりインドを起源とする綿の染色物に用いられた多色使いのデザインである更紗は、アジアからヨーロッパ各地に伝播し独自の個性に育まれながら今なお世界中の人々から愛されています。日本においては16世紀頃に伝わり、和服や茶器、印籠、巾着といった袋物などに好んで用いられ今に至ります。
柄は色糊でしごき染めされている為、裏に柄の色が通らず生成りの無地になっていますので単衣仕立てにしても野暮さを感じません。
彫師と染師の神業が共演して生まれる伊勢型小紋。人間国宝 南部芳松氏の型紙で染処古今が染め上げた「更紗に流水」。浜紬の生地が用いられており優雅なお洒落着物としてお楽しみいただけます。型紙の寿命が尽きる時、もう2度と手にする事は叶いません。真摯なモノづくりをされる染処古今さんの手によって命が吹き込まれた名品を是非お手元にお迎え下さい。スポットガーデン 筑摩和之
※写真と実物ではモニター環境などによって若干色が違って見えることがございます。
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