スポットガーデン 筑摩和之です。
今回のつぶやきは着物屋さんの売価がどう決まるかをお教えします。
着物屋といっても色々有りますが、チェーン店系のお店についてお話しします。
全てのチェーン店に当てはまる訳では無いので参考まで。
基本的に、チェーン店の在庫の多くは問屋さんやメーカーさんから商品を借りて販売し、売れた分だけ商品代金を支払ます。
その際には商品を一点一点お店側が見て値段を決める事はありません。
それを貸し出す問屋さんが予め決められた掛け率(着物屋の儲け率)を計算して決まります。
まず問屋さんは自社在庫原価の2倍で貸し出します。問屋さんの商品原価が3万だとすると6万円が貸し出し原価になります。そして、多くのチェーン店系の場合は原価の約3倍の価格設定をしますので6万の仕入原価の商品は18万になりますし、時には198,000円であったりします。
大雑把ではありますが、にさんがろく×3=6 つまり問屋原価の6倍が販売価格になるわけです。
※ただし、もっと高く付けているところもあります。
実際はその6倍の価格から値引きしてお客様に販売されるでしょう。
その値引き分を受け持つのは問屋さんです。
先程例に挙げた18万の品であれば、問屋さんが貸出し原価6万を4万に下げれば価格は4万×3倍で12万となり6万円も安くなります。
問屋さんの原価は3万ですから儲けは1万に減ってしまいますが、売れないよりはマシといったところでしょうか。
18万の品が12万円 それでも消費者さんがもっと値下げを要求してきたら、今度は着物屋さんが店長決済という形で値引きします。流石に問屋さんもこれ以上の値下げは難しいですからお店側が仕入れ原価の3倍を仮に2倍に下げたとすると売価は4万×2倍=8万になりますが、実際は9万円にして元売価の半額にしたりするわけです。ここまで値引きするかどうかはお客様との関係性やその時の状況次第なので何とも言えませんし、着物屋によってはお店では一切値引きを負担せず全て問屋負担にするところも有ります。
その価格が適正かどうかと問われると、売れれば適正なのでしょう。問屋さんも着物屋もその利益率がないと経営が成り立たないのですから。
そして、少しでも高く売れるようにあらゆる手を使うんですね。。日頃からのサービスであったり支払い方法の提案であったり、半分嘘が混じった商品説明であったり。
その価格の曖昧さこそが呉服の怖さであり、特性なのです。
それを払拭するのは無理なのかもしれません。ネット検索で価格を調べられるものも有りますが、大抵の商品は一般の消費者さんでは他店と比較する事は難しいと思います。
例えば他所よりも高いと薄々感じていたとしても、なかなか行き慣れていない着物屋さんに入るのは躊躇しますし、日頃からお世話になっているという意識から馴染みの店で購入してしまう。
その気持ちも分かりますが、その価格の違いが積み重なると何十万、いえ100万単位で余計なお金を支払っているかもしれません。
2×3=6 にさんがろく 売価の約7割が着物屋の利益。
この計算式を覚えておいて損はしません。 今日はここまで。
筑摩 和之