呉服屋さんにお出掛けされる事も多くなるかもしれませんし、ネット通販を利用されることもあるでしょう。
そんな時、必ず店員さんから商品説明を聞いたりネット通販なら記事を読んだりされると思います。
呉服屋さんはプロだから間違った事は言わないと思っていませんか?それは大きな間違いです。何故それがわかるかと言えば、私自身が間違った説明をした事があるからなんです。
今回のつぶやきはそんな過去の過ちについてお話します。
当店は沖縄のアイテムを取り扱う事が比較的多いお店です。美しい紅型染に緻密な花織や絣など本当に沖縄は染織の宝庫ですね。
ある日 私がインスタグラムで知念紅型研究所様の帯を使ったコーディネートを投稿した時のお話です。
知念さんの紅型といえば、他の作家さんの紅型に比べ発色が良く独特の美しさが特徴的です。それより少し前の話になりますが、以前から懇意にさせて頂いている 私よりもずっとベテランの業界の方がいらっしゃいます。その方からこんな話を聞きました。
「知念さんの紅型が発色が良いのは顔料ではなく染料を使って染めているからなんだ。顔料であの色は出ないよ。」と。業界の中では知る人ぞ知る通説であるかのような言い方でしたので私も妙に納得してしまい、またその方は沖縄で直接商品をオーダーされているほどですので信じてしまったんです。
そして、インスタグラムの記事の中でこんな説明書きをしてしまいました。
「知念紅型は敢えて顔料ではなく染料を使用する事で美しい色を生み出します。」私の中では裏話を語っているつもりでちょっと得意げな気分だった事は否定できません。
そして投稿してから1日ほど経った頃でしょうか、インスタグラムのダイレクトメッセージという機能を通じて知念冬馬氏(知念家 10代当主(知念紅型 9代当主)からこんなメッセージが届いたんです。
「当工房では顔料を使用しています。色の調合に研究を重ねてこのような色を出しているんです。」前後の文面は省略していますがとても丁寧な言葉でした。
私。。。。これは失礼なことをしてしまったと反省し、直ぐにお詫びの返信と記事の修正を慌ててした次第です。。。(・.・;)
それがご縁でインスタグラムとフェイスブックでフォローをしあう仲になったのですが、知念冬馬さんからご指摘をいただいた時はマジで焦りました( ;∀;)
SNSを通じて間違った情報を、それも相手にとって負のイメージになるようなことを一人が仰ることを真に受けて流してしまった事に恥ずかく思いました。。冬馬さんその節は大変申し訳ございませんでした(このつぶやきをご覧になる事は無いと思いますが改めてお詫び申し上げます)
しかし、何故このようなデマが流れていたのでしょうか。私に言われた方も決して誹謗中傷する意図は全くなかったですし、本当にそう信じておられるようでした。沖縄物をオーダーされていますが知念紅型さんとは直接取引されておらず現地の仲介者を通じて商品を手配されているので実際に直接取引されていればそれが間違いだと分かっていたでしょう。
人から聞いた情報は余程確かで出なけれは安易に信じてはいけないんですね。言ってる本人は正しいことだと思っていても実は間違っている事がよくあるという1つの事例です。
このように、呉服のプロとして仕事をしている我々でも全て正しいことをお客様にお伝えしているとは限らないのです。知らず知らずのうちに誤った情報を流している場合もありますし、中には意図的に商品を良く見せるように嘘の情報をあたかも正しいかのように説明していることもあるかもしれません。
呉服屋さんの話を鵜呑みにしてはいけません。という自虐のつぶやきでした。
ただいま季節外れではありますが、夏の紅型名古屋帯特集を開催中です。夏の着物や帯はいざシーズン前になって探しても早々お気に入りの品は見つからないもの。今回のつぶやきでご紹介させていただいた知念冬馬さんの作品の他、6点限定ではございますが名門工房さんのお品ばかりですので、お目に留まる品がございましたら是非お求めくださいませ。
ラインナップはこちら>>今日はここまで。