和服はなぜ難しいと感じるのでしょう?2

2018/06/29

前回は和服のTPOについてつぶやきました。
『正式な場以外では何をお召しになろうが皆さんがルールです。』と申し上げましたが、やっぱり気になりますよね。
自分の趣味で楽しむ為に着るにしても、こういったシーンに、この着物や帯はふさわしいのか。周りからどう見られるのか心配。
1番は『そんなの気にしない!自分が気に入った色や柄のものを好きな場所に来て行けばいいんだ!』
そう考える事が出来れば悩む必要は無いですし、まさにその通りだと私個人的には思います。誰に何の迷惑を掛けるわけでも無し自分のポリシーを持って和服をエンジョイする。素敵な事です!

でもなかなかそこまで割り切れる方は少ないでしょう。そんな方へのつぶやきです。

洋服の場合はどうなのか考えてみてください。
自宅でくつろぐ部屋着から、近所のコンビニ、ちょっと家から離れた繁華街にお出かけ、フレンチやイタリアン、日本料理屋さんなど少し高級な食事に出掛ける時、友人や職場関係の結婚式に呼ばれた時、また、それに加えて誰と出掛けるのか、誰に会うのかなど、これらは出掛ける場所やシーンですね。

冬の寒い時期や夏の暑い時期、ポカポカ春の陽気やちょっと汗ばむくらいの初夏、初秋から秋のお出かけなど。これらは季節感です。

シチュエーションと季節、その日の気分 それらを組み合わせてお召しになる洋服を決めていますよね。

例えばコンビニにドレスを着ていかないでしょうし、結婚式にジーパンではいかないでしょう。遊園地にスーツではなくカジュアルな洋服を着て行きますよね。夏にタートルネックのセーターはもちろん着ません。

それらを和服にも当てはめれば良いのですが、前提として和服と洋服の1番の違いは何か。

それは着物の形にバリエーションがないということです。
ブラウスのように半袖やノースリーブなんて有りません。
セーターのようにVネックやタートルなんて有りません。
スカートのようにフレアーやタイト 、ミニやロングなんて有りません。

フォーマルな着物でもカジュアルな着物でも夏用であろうが冬用であろうが基本の形はどれも同じです。

洋服であれば、スリムやルーズなど、シルエットを変えれば見た目に変化が生まれます。でも着物にスリムもルーズも有りません。(好みのサイズ感はあるとは思いますが)
ということは、どこで変化を付けるのでしょう?

それは、素材と柄、そしてコーディネートです。

第一に素材 そして柄 それらを踏まえてのトータルコーディネート。

まずは素材。絹 綿 ウール ポリエステル 麻を代表とする植物繊維など素材によってシチュエーションは異なります。

例えば、フォーマル着物である訪問着や留袖は縮緬と呼ばれる絹織物に古典柄やおめでたい吉祥文様など染められています。そして、全体に一枚の絵になるように柄が繋がっている”絵羽”という構図になっています。その他、付下や色無地などの種類と家紋の有無や数で格付けされます。
※この格付けが着物は難しいと感じる大きな理由ですね…
洋服では、フォーマルウェアは無地がほとんどですが、着物は色無地と呼ばれるもの以外は全て柄物ですからその中でドレッシーなのかカジュアルなのか。素材×柄で判断しなければなりません。

普段のお洒落着としてお召しになるような着物は、縮緬の絹織物に、全体に柄が散りばめられたような小紋や、紬(節のある絹織物)などの先染めの絹織物。またウールや綿、ポリエステルなど色んな素材のものがあります、その中でもウールや綿などは絹に比べるとよりカジュアルな印象になります。

ここまでくると??? やっぱり難しい…と思ってしまいますね…

フォーマル感やカジュアル感を素材や柄で使い分けるのですが、季節感も同じです。

その季節に合った素材、冬には暖かい素材、夏には涼しい素材 初夏や初秋には裏地を付けない単衣仕立てであったり。
柄にも季節感が有ります。梅や桜、椿に牡丹 藤、菖蒲、朝顔、撫子、菊、萩、紅葉などなど草花で季節を出しますし、季節を先取りしてその草花の旬のシーズンの少し前に使うのが粋だとか。 

更にここに着物に合わせた帯をチョイスしなくては…
袋帯に九寸名古屋帯 八寸名古屋帯 半幅帯…

うーん…難しい… 

一気に覚えようとしても無理ですね…

まずは、あなたがいつ(季節)何処に何の目的で着たいのかを思い浮かべて下さい。
その事をハッキリさせてからそのシチュエーションにあったものを順番に考えていけは良いのです。

例えば
京都に友達と桜を見物に。
職場の目上の方とディナーに。
お茶やお花のお稽古に。
1人で街にウインドウショッピング。
夏のお祭りや花火大会へ。
新年の初詣に。
自宅で着物生活がしたい。

そんな風に具体的にシーンを思い浮かべると何となくイメージが湧いて着ませんか?
和服は難しい。ルール、しきたりが有るのでは?などと考える前にまずは自分が着ている場面を想像するとワクワクしませんか?

まずはそこをスタート地点にして見ましょう。

…で…そこからどんな物を選べば良いの?
具体的には次の機会に!
または、私までお気軽にご相談下さい☆

スポットガーデン店主
                        筑摩和之