和服はなぜ難しいと感じるのでしょう?1

2018/06/29

着物の世界に足を踏み入れたいけど、着付けを習ったけど、着物の世界は難しくてなかなか…
というお話をよく聞きますがなぜなんでしょう?

着物は何故特別な存在だと思うのでしょう?

理由は1つではありません

例えば
・値段が高い(不透明)
・TPOが分からないから不安
・色柄の組み合わせが難しい
・着付が出来ない

これらが代表的な理由ではないでしょうか?

これをお読み頂いている方も肯かれている事と思います。

値段の不透明さに関してはバックナンバーをご参照ください。

今回はこれらの理由の中で、TPOに焦点を当てて呟いてみます。
TPO 確かにセレモニーに関する場やお茶席などある程度正式な場所ではルールが存在します。結婚式であったり授賞式や授賞パーティなど何故なら、お祝いの席では(ある時はお悔やみの席でも)お招きいただいた方、主役の方に失礼にあたらない、恥をかかせない、不快な気持ちにさせないという事が大前提にあります。またお茶席などの格式張った会ではその場全体の和を乱さない統一感や序列など 集団の美を重んじなくてはいけません。
そういった事は着物に詳しくない方でも良くご存知なので、それが頭にインプットさせている為着物を一括りにして初めから着物は難しいと思い込んでしまっているのです。

でも、それ以外の自分自身の趣味の範囲でお召しになる場合にはルールなど存在しません。ある意味ルールを決めるのは自分自身です。
洋服と同じ感覚で良いのですが、何故かこの着物はその場に合っているのか。この帯との組み合わせや小物合わせで大丈夫なのかなど不安になり着物は難しいと考えてしまっていませんか?
この記事をお読みの着物初心者の方は思い当たる節があるかもしれませんね。

世間には着物の着方について厳しい目をお持ちの方はいらっしゃいますし、それを口に出して注意される方もおられます。
確かに前合わせを反対にしていたりすると注意されても仕方ないかもしれません。夏場の浴衣ではたまに自分から見て右側を上にもっていって着ている若い女性を見かけたりします。亡くなった方がお召しになる時がこの前合わせですからそれは着物を着る時の最低限のルールです。
洋服だと男性と女性では反対ですが、着物は男女同じなので間違えるのもうなずけますが。ごく一部の着物通の方の目を気にしてしまうのですね。
でも、最近よく見かける、着物姿にブーツを履いたり、着物の下にタートルネックを着たりファッショナブルに着こなしていらっしゃる方が増えました。
その着こなしに眉をひそめておられる方もおられますでしょうが、ファッションというのはいつも新しく変化していくものです。それは洋服だけでなく和服にも当てはまるはずです。
洋服で”はずし”という着こなしがあります、敢えて柄に柄を合わせたり、テイストの違うアイテムを組み合わせたり。
洋服ではOKなのに和服ではNGなんて事はないですよね。
皆さんは洋服でも正式な場にはドレスであったりフォーマルスーツをお召しになるはずですし、お出掛けするシーンに合わせてお召しになるものを自分の好みで使い分けされていますよね。
なのに和服だけはいつどんなシチュエーションでも形式張ったルールが存在するかのように錯覚して他人の目を気にしていませんか?

確かにTPOは存在しますし、着物や帯の種類によって格も存在します。でも最初に申し上げた正式な場以外には、どこに何を着ていくかはお召しになる方の自由です。
色や柄もお好みで良いのです。着物を伝統文化だと持ち上げすぎると難しいと感じてしまいます。
まずはその事を前提とすると、着物も案外気楽なものなんだと思いませんか?
その上で、少しでもその場で素敵に見える、自分が幸せに感じられる着こなしを見つけられれば良いですね

もっと柔軟で自由な発想で着物を楽しみましょう。


スポットガーデン店主
筑摩和之