祇園祭【着物販売会ツアー】予備知識

2018/06/29

間も無く日本三大祭りの一つ京都【祇園祭】が始まります。(厳密には始まってますが)
祇園祭期間中は京都の着物問屋街【室町】界隈が通行止めになり、着物問屋の業務がストップしてしまいます。
そういうわけで今から30年ほど昔までこの宵山の時期は問屋さんや製造元さんは連休を取られていました。
でも、「日本全国から観光客が押し寄せるこのタイミングに着物の販売会をしない手はない」との発想から問屋さんの社屋や展示会場を使って消費者販売会【祇園祭ツアー】なるものをはじめられました。
夏場は着物が売れない時期なので、それこそ問屋さんも小売店もこの祇園祭催事に夏の売上全てがかかっていると言っても良いでしょう。
大手のチェーン店はバスをチャーターしてホテルを押さえ全国からこの祇園祭ツアーに大挙しました。その方だけでもホテルは満室状態になった程です。(今は海外の観光客で満室ですが)
やはり着物を販売するだけではお客様は集まりにくく、「祇園祭を見に行きませんか?」と勧誘し、ホントに大勢の方が来られました。そしてこの数日間だけで百億円規模もの売上があったほどです。

今では考えられないような数字ですが、その当時バブル絶頂の頃でしたので本当に着物が売れた時代でした。
更に祇園祭展示会での販売会価格は目が飛び出るような金額だったのです。普段の2倍はしていたのではないでしょうか。
何故そんなに高額になるのか。それは半端ないほどの経費が掛かるからなんです。遠方からツアーを組んで来られる方の宿泊交通費はほとんどタダ同然です。良いホテルに泊まり、川床で京料理を食べて至れり尽くせり。さて、「店主のつぶやき」をご愛読していただいている方はもうお分かりだと思います。そう…そのタダ同然の宿泊交通費にお食事代、更にお土産品など全て販売価格に乗っかっているんです。ですからもし、祇園祭ツアーに参加され販売会で何も購入されなかった方は購入されたお友達に感謝しましょう(笑)という笑い話でも無いですが本当にそうなんです。また、その当時は大手のチェーン店は単独で問屋さんの社屋や展示会場を借り切り開催されていました。来客人数が多い事もありますが、独自の販売価格を設定したいが為に自社のお客様しか見られないようにしていたんです。その販売価格は勿論、他の会場で販売されている価格よりも遥かに高額だったんです。(そのチェーン店は倒産しましたので今は存在しません※独立して別のチェーン店をされている方は沢山居ますが)

そしてバブルも弾け、リーマンショックを経て景気の回復が思わしく無い今に至っても脈々と祇園祭ツアーは続いています。さすがにバブル期のような派手さは無くなり販売価格も落ち着いて来ましたが、それでも普段の展示会よりは高めの価格設定になっています。問屋さんにとっても毎年参加されている小売店にとっても夏場の閑散期の売上の柱である事は今も昔も変わりありません。現在は旅行代金をお客様に負担してもらっている事も多いようですが、それでも問屋さんも小売店(特に遠方から宿泊で来られるところ)も経費を掛けてこの祇園祭販売会に臨まれます。昔よりも販売価格は下がったとはいえいつもよりは高い設定です。
昔とは違って今は買上げ率は上がっているようです。(買上げ率とは来場者に対してご購入されたお客様のこと)特に遠方から参加される小売店は購買の読めるお客様しか誘わなくなっていることもその理由です。しかし買い上げ単価は下がっています。いかにして買上げ率と買い上げ単価を上げるかがポイントですから売り手からすると真剣勝負です。もし日頃の感謝を込めてお連れしますと言ってもそれは勧誘の為の手段です。当然買ってもらうという期待の元でのお誘いなんです。
もし、今年この祇園祭販売会に初めて参加される方がおられましたら安易に購入されない事をオススメします。購入する場合は絶対に値段交渉してください。それも徹底的にです。時と場合によっては値札価格って何なの?と思う程安くなるかもしれません。(時と場合、どこの着物屋さんに連れて行ってもらうかにもよります)
京都祇園祭というシチュエーションと美しい着物、歯が浮くような褒め言葉にほだされて判断力が鈍らないように注意してくださいね。そして旅行代金を小売店が負担していたとしても悪いからといって付き合いで購入しないでください。必ず高い旅行代金になります。

と、批判的な話ばかり呟いていますが、悪いばかりでは有ません。年間最大級の消費者向け販売会なので、問屋さんもメーカーさんも力の入った商品をご用意されます。それは激安品という意味では有ません。一級品の売れ筋が並びます。普段の小売店や問屋さんには並んでいないような逸品や作家物がご覧いただけるので、本当に気に入った一点を見つける事が出来るかもしれません。そういった着物をお探しなら参加してみる価値はあります。ただし購入するには100万以上、場合によっては数百万はゆうに超えますのでそれだけ覚悟してください。当日行って値札を見てビックリしないように申し上げておきます。帯締め(何の変哲も無い国産品)が2万くらいからなので、小物だけ買って逃げようにも結構な出費です。
※こういった展示販売会では特価の安い品は売り場に並べずにしまってあります。

とまあ、ちょっと長々となりましたが、京都祇園祭ツアーの実態をほんの少しだけつぶやきました。

もし、行ってみたいが馴染みの着物屋さんが無いという方、いつもの着物屋さんと行くのは。。。などいらっしゃいましたら私がご案内しますのでお申し出下さいね!どこよりもお安く、そして私がマンツーマンで会場をエスコートさせて頂きます!


それでは今日はここまで。
スポットガーデン店主 筑摩和之