こんにちは!スポットガーデン 筑摩です。
「着物の値段はあってないようなもの?」
着物業界では永遠のテーマ ・・よく消費者の方から聞く言葉です。
着物を販売している私の立場からこの答えは、、、
ズバリ・・・『あってないようなものです。』
厳密に言えば値札売価や元売価はあってないようなもの。
何故? 一つには値引き販売が当たり前の業界だからです。 消費者の方も何度か値引き販売を経験するとそれに慣れてきますから、値札を見て
『で、幾らになるの?』
という事に、、 元はと言えば着物屋が値引き販売を当たり前にしたことが元凶です。裏を返せば値引きしたかのように表示売価を釣り上げているのですが・・・
ですから着物の値段はあってないようなものになり、本当の適正価格が分かりにくくなってしまいました。
着物屋は仕入原価が分かっていますから幾らで売れば利益が残るのか分かりますが、お客様は原価など分かりませんので、着物屋さんが最初から半額で提示してきたらビックリしますよね。でもそれに慣れてくると別のお店で値引きが少ないと「このお店はあまり安くしてくれないからお得に買えたと感じない」と思ったりしませんか? 実は錯覚で、値引き販売しないお店・値引きが少ないお店が実は1番安かったり、、、
【値引き販売にも大きく分けて3種類の手法が有ります。】
1、表示売価を相場価格相応に付け、値引きして安く販売する。
2、表示売価を相場よりも高くつけて、大幅値引きして安く販売する。
3、ありえないほど高額な表示売価をつけて値引きするがそれでも高く販売する。
例を挙げると・・・ 一般的な標準売価が10万円の着物の場合(標準価格がまた難しいのですがそれは着物屋さんなら大抵わかります。)
1の店の場合 表示価格10万の品⇒2割引の8万円
2の店の場合 表示価格20万の品⇒6割引の8万円
※1と2のお店は結果的に最終売価は変わりませんが2の方がより安く買えたと錯覚しますね。
3の店の場合 表示価格50万の品⇒7割引の15万
※割引き幅は一番大きいですが最終売価は一般的な標準売価の1.5倍・・・
極端に言えばこういう感じですが、なぜそんな販売手法がまかり通るのか。
それは洋服のように大体これくらいという相場が店舗自体が少ないため比較しづらい事も関係しています。 でも今ではネットが普及して誰でも検索すれば価格比較できるようになってくると消費者の方でも相場がわかるようになり、ネットに疎い昔ながらの商売をしている着物屋や販売員の方が相場価格を知らなかったりする現象も起こってきています。
【店主のつぶやき】バックナンバーでもお話していますが、商品の流通形態でも店頭価格は大きくかわって来るのが着物の値段の難しいところです。 お店はさほど利益率を取っていなくても仕入価格が高ければ売価は高額になってしまいます。 着物の価格がお店によって4倍違っても不思議ではありません。
そこで私が価格設定の際に1番頼りにするのが百貨店と大手ネットショップ、そして信頼できる専門店(ネットショップ併設)の3つ、そして問屋さんメーカーさんからの聞き取りです。
※私が信頼している専門店がどこなのかは差し控えます(笑)
百貨店は高いと皆さん思っておられるかもしれませんが、実際はそうでもありません。昔は百貨店は高いと言われていましたが最近は一般的な呉服屋より安い場合が多いと先日問屋さんとも話していました。 かといって格安というわけではないですが良心的ではあります。 ネットショップは接客出来ない為、駆け引き無しで値段をつけるので一般的な着物屋より絶対安いです。
※一部かなり高い値段のところもありますが、そういうお店は実店舗での販売がメインでネットショップはお店紹介程度の位置付けです。
また信頼できる専門店は大体どこのお店も同じくらいの価格で販売されています。どこにでもある量産品のものはネット検索すればすぐにヒットする為、価格競争になりますので専門店が滅多に扱うことはありません。
でも消費者の方は『柄が違えば別の品』だと思いますので価格が違っても商品ランクが違うから値段差があるのだと思われるかもしれません。 例えば着物屋さんで、お客様が『ネットで見たらもっと安く売ってたよ』と言っても『それは物が違うから安物ですよ』と言われたこと無いですか? 実は同じランクの商品だとしても着物屋はそう言うでしょう。もし本当に安物であれば、どこが違うのかを丁寧に説明してくれるはずです。もし、それ以上の説明をしてくれなければ同ランクの商品と言ってまず間違いありません。
この話題をすると結局いつも答えは見つかりません。
最終的には信頼できるお店、販売員さんを見つけるしかないのでしょうね。。。
今日はここまで
スポットガーデン 店主 筑摩和之