大阪中之島 スポットガーデン 筑摩和之です。先日、久しぶりに出向いた問屋さん主催の着物販売会で感じたことについて呟きます。皆さんも馴染みの呉服屋さんに連れられて展示会という名の着物販売会や、着付け教室の研修という名の着物販売会に行かれたことがあるかもしれません。着物販売会に参加すること自体は決して悪いことでも怖いことでもありません。私のお店では品揃えが出来ないような商品量と幅がありますし、自分で選んで仕入れるとどうしても趣味が偏ってしまうので着物販売会を活用しています。でもそこには注意しなければならない点があります。決して全ての販売会がそうだというわけではないですが、往々にして価格は非常に高くなっています。それは何故か?一つには主催者と参加する小売店の両方に販売経費がかかっていることが挙げられます。※会場費や什器設営費、宣伝費や食事代に交通費にイベント開催費など。もう一つには、参加する呉服屋さんによって必要とする利益率が違うため、売価は高く設定します。例えばAという呉服屋さんは20%の利益があればいいけど、Bは50%必要だという場合は利益率の高い方に合わせて価格設定します。例:主催者側の必要利益を足した原価が50万だとすると会場売価は100万になります。そうすると、B呉服店は100万で販売し、A呉服店は値引き販売をして60万ほどで販売できるという事です。※これはあくまで単純な例で実際はもっと複雑です。本題の「価格マジック」に話を移します。経費がかかった設定価格の高い販売会では商品によっての価格差が非常に大きくなります。先日の販売会で見た結城紬では、無形文化財指定の本場結城紬(結印)が300万(あまり興味がなかったのではっきり覚えていませんが・・)そうでないいわゆる石毛結城紬(紬印)で50万と見た目は殆ど変わらない結城紬でも250万もの差があり、50万を安く感じてしまいます。また、特価品として赤札で販売されている28万や198,000円など見ると、他の商品と比較して安いと錯覚してしまうんです。。これこそが「価格マジック」私も価格だけ見ると安いと思ってしまいますが、実際に商品をみると決して特価ではありません。店頭価格と比較すると普通か逆に高いくらいです。とあるコーナーで販売に来られていた知り合いの産地問屋さんに「この商品が28万で特価?」と聞くと「他の商品が高いから比べると特価です(苦笑)」とおっしゃっていました。でも、実際にお客様がいくらで買われるのかはわかりませんので何ともいえませんが。。私のような小売屋が錯覚しそうになるのですからお客様がそう感じてしまわれるのは当たり前のことですね。。言えるのは、こういった販売会の価格は高く付いていると思ってください。ほとんどの場合は値引き価格で購入されているでしょうが本当に安く買えたのかどうかは分かりません。私の場合もこういう販売会では主催者側の経費が掛かることから買い取り商売で仕入れるよりも当然仕入原価は高くなり、利益率は本当に低くなってしまいます。でも、普段は仕入れることのない品を多くの商品量からお客様に選んでいただけるというメリットの方が大きいので利用しています。
お客様も、ご自分の気に入ったものを存分に探せるという点では多少価格が高くなってもそこは致し方ないのかもしれません。そこは考え方次第なのでお客様が判断されたら良いのではないでしょうか。ただ気を付けてほしいのが、その場の雰囲気に流されたり、販売員や職人さんの言葉に惑わされて後先考えずに購入しないで下さい。そして予算を決めていくことです。購入の前に、◎本当に気に入った品なのか。※販売員は褒め殺しにしてきます。◎本当に着るのか。(見てるだけで満足なら構いませんが)※販売員は何処でも着ていけますよと言います。◎今買わないといけないものなのか。※販売員はこれも出会いですから。今だけこの価格ですと言います。◎値段は自分の予算内なのか。※販売員は支払い方法はご相談に乗りますよと言います。もう一度冷静に考えてください。もし着装させられているなら着装を外してから考えてください。着装したままで、周囲の視線に負けて「買う」と安易に返事しないでください。予算に関して迷っていると小売屋はちょっと離れた場所に連れていき多数回のローンを組まそうとするかもしれませんが、必要なければ「買わない」とはっきり意思表示してください。普段からの信頼関係があればそんな心配はないでしょうし、初めて会う販売員さんでも信頼のおける小売店であれば無理な押し付け販売はしてこないと思います。でも、少しでも押し付け販売されていると感じたらはっきり断りましょう。悩んでいる振りをすると小売屋は買ってくれると都合のいいように解釈してしまうのでご注意を。そして、価格に関しては予算の中で気に入ったものを購入したのなら後は小売屋さんを信じるしかありません。最後は話がそれました。
常に冷静で自分基準をしっかり持っておられる方、信頼のおける呉服屋さんをお持ちの方は心配ありませんが「価格マジック」にはご注意を。
PS・・今回の販売会では、お越しいただいたお客様がお選びいただいたお品が、私の好みにドンピシャだったので嬉しかったです★今日はここまで。スポットガーデン 店主 筑摩和之11/20(月)発売 美しいキモノ 冬号掲載「横山俊一郎 三才山紬」>>>「柳崇 九寸名古屋帯」>>>