スポットガーデン 筑摩和之です。本当に久しぶりのつぶやきになってしまいました(/_;)今年最初のつぶやきは、産地が発行して商品に貼付されている証紙についてのお話です。下の写真は山形県「置賜紬」(おいたまつむぎ)の証紙です。※置賜紬伝統織物協同組合発行
置賜紬とは山形県の米沢・長井・白鷹地方で生産されている織物で、この一帯が置賜地方と呼ばれていることから名付けられています。
詳しい歴史名などは今回述べませんが、江戸時代より伝承される伝統の織物です。
この証紙を見ると、生産地(米沢・長井・白鷹)がどこかが分かります。
この品は長井に◯が付いているので長井市で生産されています。
その他、草木染・手織・絣の工法が分かるようになっているのですが、この中で【手織】という項目を見ると「手織織機」に丸が付いています。
これを見るとこの織物は「手織り」なんだと思いませんか?
恐らく全ての方がそう思われるのではないでしょうか。
かく言う私もそう思いました。
でもよく見るとその他の工法で、足踏み式織機 高機(たかはた) いざり機 と書いてあります。
うーん、それぞれどう違うのでしょうか。。。
手織りとしての工法で一番なじみ深いのは「高機」です。椅子に腰かけて”ぱったんぱったん”と緯糸を筬で打ち込んむのですが、昔話 「鶴の恩返し」に出てくるような機織り機をイメージするとわかりやすいのではないでしょうか。
※画像が有ればいいのですが。。。
そして「いざり機」はもっとも原始的な機織り機で、国の無形文化財指定の結城紬や越後上布などで使用されています。地面に座り縦糸を腰に巻き付け織られるのが特徴です。(地機※じばた とも呼ばれます。)
※いざり機織と比較して高い位置で製織されることから「高機」と呼ばれるようです。
これら「高機」「いざり機」の二つが筬を手作業で操作して緯糸(ヨコイト)を打ち込む純粋な手織りです。そして高機よりも"いざり機”の方がより高度な技術と3倍以上の時間がかかる為、お値段も高額になります。
さて、それでは証紙の1、2に記載されている「手織織機」と「足踏み織機」とは何なのでしょうか?
産地のホームページなども見ても全く記述されていない為、問屋さんの営業担当に尋ねてみましたが(・・? でした・・・
私自身、想像は出来るのですが確信がないので問屋さんの織物仕入れ担当に聞いてみたところやはり想像通りの答えでした。
手織織機とは緯糸は動力でガッシャんガッシャんと動力で打ち込み、絣の部分は機械を止めて手作業で柄合わせをするというもの。
足踏み式織機は、足でペダルを一回踏むごとに緯糸を動力でガッシャんと打ち込み、絣の部分は手作業で柄合わせをするというものなんです。
経済産業大臣指定伝統的工芸品の置賜紬の工法基準を見ると
「絣糸のかすりを手作業により柄合わせをし、絣模様を織り出すこと。】と記述されています。
なるほど・・絣部分を手作業で合わせれば伝統工芸品指定の工法になるのか・・・
ということは、緯糸は動力を使っていても問題ないのです。
それは技術の進歩であり、効率化を進めてより早く、簡単に生産するにはもっともなことで、そしてそのことで少しでも安価になるなら良い事です。確かに手間暇がかり、風合いも良い純粋な手織りの方が良いのですが、生産数も少なく高額になり、なにより技術を継承するのは本当に難しいですから。動力を使うことは決して悪い事ではありません。
でも、この証紙を見ると殆どの消費者さんが手織りだと勘違いしますよね。そして問屋さんや小売店でも手織りだと思っている人が少なくないのが現状です。
「手織りだから高価なんですよ!」と適正価格以上の売価で販売されるかもしれません。
この証紙の手織織機という言葉の意図は解りませんが、紛らわしいのは間違いないですね。。
皆さんももし何処かの着物屋さんでこの証紙を見かけたら店員さんに聞いてみてはいかがでしょうか?
「これって手織りですか?」なんと答えるのでしょうか。。。
それでは今日はここまで。
スポットガーデン 店主 筑摩和之