芭蕉糸を績み 技術を繋ぐ
最高級自然布
芭蕉布(ばしょうふ)
南国琉球 喜如嘉の地で生み出される原始布
国の重要無形文化財指定技術
オールシーズンお使いください
かつて琉球の人々にとって身近な衣であった芭蕉布、高温多湿の気候にあって風通しが良い素材で庶民から士族、王族に至るまで身につけていました。明治維新後の生活様式の変化によって徐々に廃れていった芭蕉布は第二次世界大戦によって焼け野原になり壊滅的な状況の中、故)平良敏子さんの始めとする人々の情熱と努力によって蘇り今なお織継がれているのです。しかし近年には後継者不足や益々の着物離れが影響し希少で高価な布になり存続の危機を迎えているのです。
【産地】沖縄県 大宜味村 喜如嘉(きじょか)
【品質】経緯:手績み(てうみ)芭蕉糸100%
【染色】草木染
【着用時期】単衣・夏・袷/オールシーズン
※芭蕉布は風通しが良く夏向きの布ですので単衣から夏のシーズンに適していますが、自然の素材感と人の手の温もりを感じさせますので帯の場合は通年お使いいただきたいと思います。真綿の着物にコーディネートしても味わい深い装いに仕上げてくれます。
【長さ】仕立て上がり370cmにさせていただきます。
※ご希望の長さがございましたらご注文手続きの際、フリー記入欄からお知らせください。最大:370cmまで対応可能ですがギリギリいっぱいまで長くすることをご希望の場合は「長さいっぱい」と記載してください。
ざっくりとした張りのある織物 芭蕉布 抜群の清涼感が高温多湿の日本の夏に涼やかな風を運びます。琉球染織らしい伝統的な絣文様「番匠金(バンジョーガニ)※大工道具のL字曲尺」をあしらった古典柄が国の重要無形文化財技術指定 伝統工芸品としての味わいや風格を漂わせ 御召しになる方をよりお洒落に そして趣深い着姿にいざないでくれるでしょう。
琉球王朝の頃より庶民から士族まで夏のお召し物として用いられていた芭蕉布 今では国の重要無形文化財に指定されるほどの希少な布になってしまいました。
第二次世界大戦による戦火で焼け野原と化した沖縄 その中にあって大宜味村近辺は被害が軽微ではありました。しかし 芭蕉布を作るための糸芭蕉の畑は荒廃し その原料畑を蘇らせる必要がありました。それに中心となって尽力されたのが後に人間国宝に認定された「平良敏子」さんなのです。
1920年 沖縄県大宜味村 喜如嘉(おおぎみそん きじょか)で産声を上げた平良さんは機織りの音を子守唄として育ちました。学校の昼休みには家に帰り苧績み(糸紡ぎ)を手伝っておられたそうです。
そして戦時中は岡山県倉敷で女子挺身隊に入り倉敷紡績工場で職工として従事されていました。その時に知り合われた民藝を愛する倉敷紡績の大原總一郎氏 倉敷民藝館の外村吉之介氏と出会われた事で芭蕉布作りが一生の仕事となったのです。外村氏に師事し学ばれた後 大原氏から「ふるさとの工芸を復活してください」との言葉を受けて故郷に帰り見事に芭蕉畑を蘇らせ芭蕉布を復興させたのです。
その苦労は我々の想像を絶するものだったに違いありません。しかし故郷を愛し 故郷の伝統を継承するという確固たる信念と情熱が平良敏子さんを突き動かしたのではないでしょうか。のちに「芭蕉糸に助けられてここまでやってきましたが、それでも満足する布にはであっておりません」とおっしゃる謙虚さと向上心はまさに芭蕉布とともに生きてこられた証なのです。
平良敏子さんは2022年101歳で生涯現役のまま亡くなりました。
芭蕉布は糸芭蕉と呼ばれる植物から糸を作ります。人の背丈よりも高い植物で 糸作りができるまで成長するのに3年ほどかかります。
その茎の皮を剥ぎ灰汁で煮て手で繊維を裂きます。外側の硬い部分はクッションや財布、名刺入れなどの雑貨類にそして次に硬い内側の部分は帯に そして最も柔らかな部分を着物用に用います。
芭蕉布だけでなく麻織物である越後上布 榀の木を原料とする榀布など 植物から手績みされる織物はその糸作りが本当に大変なのです。越後上布や榀布は分業制になっており 糸作りと製織者は別々の場合が多いのですが 芭蕉布は栽培から糸作り製織まで一貫して行われます。
こういった自然布や原始布とよばれる織物は製織は勿論こことなのですが それ以上に原料を糸に仕上げるまでの時間と労力の方がかかるのです。
その作業をされる職人さんがどんどんと少なくる事で生産数が減り価格も高騰してしまうのです。価格が上がったと言って職人さんの生活が豊かになる事はありません。生活に必要な僅かな収入にも届かないのではないでしょうか。
それほどまでに希少な技術を途絶えさせないように先頭に立って守り次の世代に継承させていかれているのが平良敏子さんであり義理の娘にあたる平良美恵子さんです。
現在では国の重要無形文化財に指定されていますので後継者育成の為の補助を受けられていることもあり約20人ほどの職人さんが居られるそうですが 僅か20人なのです。その方たちも個人で活動するために沖縄を離れられる人も出てきます。産地としての伝統を守るという事はその地で生涯やり続け 未来に繋げていくことが必要です。技術や精神を受け継ぎ個人染織作家として活動するよりも更に重要な役割を担っているのが産地織物なのかもしれません。
草木染の息吹を感じて
幾種類もの天然染料を用いて染め分けられた糸が見事に融合して柔らかく優しく そして曖昧な美しさを放つ地色に仕上げています。
化学染料では感じることの出来ない草木染の魅力とは何なのでしょうか。
草木染料に混ざった天然の有機物が作用し、目の前に映る色の奥に更に重なり合った色が見え隠れすると言えばいいのでしょうか。
じっと見ているとそれが本当に何色なのかが分からなくなる感覚に陥ってしまい、それこそが草木染だけが持つ”色の深み”と言うものなのかもしれません。
そして草木染の色は日々変化していきます。しかしその歩みはあまりにも遅く目に見えて変わるものでは有りません。
草木染料は染められた後も歩みを止めず糸に浸透していくのだそうです。そして浸透するにつれて徐々に深みが増して色が変化していくのです。
お客様の手元に渡ってからも日々成長していく草木染。その成長は実感できないかもしれません。しかし間違いなく貴女と共に人生を歩んでいるのです。身に着ければ身に着けるほど、時が経つほどに愛着が湧いてくるに違いありません。
琉球藍のブルー、茜の赤、そして福木をはじめとする茶系の草木色が奏でるまろやかな優しさが身を包み込みます。
手織り~身体に沿う着心地の良さ
「とんとん♪ とんととん♪」南国の風に乗って響く機織りの音。ただひたすら機に向かい緯糸を打ち込んでいく。布の声を聞きながら糸を労わるように、しかし力強く織り進める手織りの作業は、常に心を乱す事が許されない正確さが求められます。それは自分自身と向かい合い我を見つめ直すかのような作業であり、集中力と根気強さを必要とします。高度な技術と人の感度によって、糸の状態や湿度などを見極めて打ち込み具合を加減する。機械織りでは感じられない優しさは人の手がもたらす温もりであり、体に沿う着心地の良さが手織り最大の魅力なのです。
芭蕉布 山之口貘
上京してからかれこれ
十年ばかり経っての夏のことだとおい母から芭蕉布を送って来た
芭蕉布は母の手織りでいざりばたの母の姿をおもい出したり
暑いときには芭蕉布に限ると云う
母の言葉をおもい出したりして
沖縄のにおいをなつかしんだものだ
芭蕉布はすぐに仕立てられて
ぼくの着物になったのだがただの一度もそれを着ないうちに二十年も過ぎて今日になったのだ
もちろん失くしたのでもなければ
着惜しみをしているのでもないのだ
出して来たかとおもうとすぐにまた入れるという風に質屋さんのおつき合いで着ている暇がないのだ
『鮪に鰯」原書房
1964
国の重要無形文化財指定の技術により生み出される喜如嘉の芭蕉布 平良敏子さんらの手によって蘇り 守られ 次の世代へと伝承される特別な原始布です。多くを語らずとも感じられる手仕事の味わいは他を圧倒する魅力を放っているのです。
芭蕉布は夏物という固定観念を捨て袷のシーズン含めて通年お楽しみください。
年々入手が困難となっている希少品、また価格も上がってきておりますので私も気に入ったお柄であれば即仕入しなければ手に入らない芭蕉布です。お目に留まりましたら是非お手元にお迎えいただきましたら幸いです。
スポットガーデン 筑摩和之
※モニター環境や画像処理の関係上 実物の色目と若干異なって見える場合がございますのでご理解の上お求めください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページ内に設置のオプションからそれぞれの項目をお選びください。
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【お仕立てについて】
※こちらの品は手縫いとさせて頂きます。
【八寸名古屋帯】
1「松葉仕立て」
4,860円
手先から約38cm(1尺)半分に折ってかがります。
※最も一般的なお仕立て方法です。
※手先が半分になっているので締めやすくなっています。
2「平仕立て」
4,860円
手先を半分に折らずに全て平らのまま仕立てます。
※胴巻部分の帯巾を調節したい方におすすめです。
●お仕立て期間 約3週間
GW お盆 年末年始など長期休暇を挟む場合は7~10日程度余分にお日にちを頂きます。また、お仕立てが混みあった場合もお日にちが掛かる場合がございますので予めご了承下さい。
※本品は水分をはじくガード加工をおススメ致しません。