【産地】新潟県
【品質】麻(苧麻)100%
【製織者】中島律子
【着用時期】7月・8月(盛夏の季節)
【長さ】1丈3尺(約490cm)
昭和33年 国の重要無形文化財 第一号の指定産地として認定された「越後上布・小千谷縮」※2,009年には「ユネスコ無形文化遺産保護条約「人類の無形文化遺産の代表的な一覧表」にも登録。
苧麻(からむし)を原料とするこの麻布は乾燥すると切れやすい性質を持つため湿度の高い雪国の冬仕事に適していることから新潟県においても織継がれてきました。その歴史は大変古く、織物圧痕のある縄文土器の出土や、奈良の正倉院に保存されている「越布」などにルーツをたどることができるほどです。
江戸時代後期の商人、鈴木牧之の著書「北越雪譜」の中でも「雪中に糸となし、雪中に織り、雪中にそそぎ、雪中に晒す。雪ありて縮あり、雪こそ縮の親と言うべし」と詠まれ「雪から生まれる織物」とも言われています。
豪雪地帯である越後の地は一年の半年間が雪に覆われる為、農家の女性たちの冬場の仕事として麻の織物が生産されてきました。
まさに雪国が生んだ織物「越後上布」
雪の中で生まれた布を盛夏に身にまとう。これを粋と言わずして何というのでしょう。
高温多湿の日本の夏にあって麻の軽さ・風合い・肌触りは他の繊維では味わうことのない極上の心地よさだけでなく、脈々と伝承されてきた手仕事の技とその中に宿る人の温もりを感じていただけるに違いありません。
本品は希少性の高い「越後上布」の中でもほとんど見かけることのない九寸名古屋帯です。一般的に越後上布の帯といえば八寸名古屋帯を多く見かけるのですが何故この帯は九寸名古屋帯として生まれてきたのでしょうか。
製織者、中島律子さんは、父親である伝統工芸士 中島清志さんのもと、妹さんの伸子さん、母親の政江さんらと家族で「中田屋織物」を営んでおられます。
通常、越後上布に使われる苧麻(からむし)は福島県 会津で栽培されたものを原料として仕入れ「手績み(てうみ)」と呼ばれる気が遠くなるような工程で一本一本繊維を手作業で裂き、一本の糸に作り上げられます。麻は絹のように連続した1本の長い繊維ではない為、短い繊維を熟練の手業によって繋ぎ合わせていきます。そしてその硬い麻を糸状に作り上げる作業はベテランの績み手でさえ着物一反分の糸を仕上げるのに3カ月はかかるほどの困難を極めるものです。その過酷さと、その対価として得られる賃金の安さから「績み手」のなり手が居らず高齢化が進み、越後上布そのものがいずれは消え去ってしまうのではないかとさえ言われています。
話は戻りますが、会津地方で人の手によって栽培された苧麻が越後上布の一般的な原料とされる中、本品は野生の苧麻が使用されている大変珍しいお品です。以前は新潟県の山野に自生する麻を採って糸作りもされていました。その頃に作られた麻糸が中田屋織物さんに保管されていた事から、その糸を使って製織することを考えた律子さんは、着物用としては少し太く、八寸名古屋帯としては細いこの糸を使って九寸名古屋帯を製織してみようとの発想から生まれたのが本品です。
麻独特のシャリっとした張りがありながらも”しなやか”な風合いがあり、この自然布に触れているだけで”ほっこりとした”何とも言えない安らかな気分にさせてくれます。
苧麻を細く細く手で裂き、気が遠くなる作業により糸に仕上げていきます。手績み作業の様子
網代格子の模様が表現されたデザインは麻の自然の色と茶系の濃淡で染色された糸がミックスされており、無地感覚の中にも深みの有る立体感を生み出し、絣柄とはまた違ったさり気なく品があり、大人の上質さを感じさせてくれます。
また、越後上布は「雪さらし」という工程で織上がった布を春先に雪の上に並べ天日にさらすことで、雪が解けた水蒸気と紫外線で生じたオゾンの作用で漂白・殺菌されると同時に色味に深みが出るとともに、しなやかな風合いへと更に生まれ変わります。
雪さらしの様子
織工程は高機(たかはた)と呼ばれる機織り器を使い中島律子さんが手織りで製織された名古屋帯です。
※重要無形文化財指定の技術は地機(じばた)で製織されています。地機とは地面に足を投げ出した状態で座り込み経糸を腰に巻き織子さんが経糸の張りを調節しながら織り上げられます。高機は椅子に腰かけて経糸は機織器に巻き付け固定した状態で製織されます。ですから本品は重要無形文化財指定の技術を少しだけ合理化して製織されています。(中島律子さんも地機の熟練技能者です。)
夏の高級自然布「越後上布」は着物好きの方に愛され続け一点は持ちたいと思う憧れのお品ではないでしょうか。
栽培ではない自生した苧麻の生命の息吹を先人から伝えられる伝統の技で一本の帯へと織り上げられた名品を是非お手元にお招きいただければ幸いです。
写真中央が製織者 中島律子さん 左:父親 伝統工芸士 中島清志さん 右:妹の伸子さん。
※写真と実物とはモニターや画像処理の関係上、若干異なる場合がございますので予めご理解ください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。 ※お仕立てをご依頼の場合には、オプションからそれぞれの項目をお選びください。※お仕立てについてはこちらもご参照ください>> ===================================================================== 【お仕立てについて】
※白の夏用綿芯を使用致します。
※開き仕立ての場合は裏地無しをお選びください。
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てる
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけない
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て
※裏地の色はお任せになります。
(帯ガード加工)
・雨やお食事時にも安心のガード加工:3,240円
※本品は麻の風合いを大切にするためガード加工はおススメしておりません。
※帯は国内手縫い仕立てです。
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★★無料で出張も承ります。★★ (大阪市内から100キロ圏内)。
実物を手に取って確認なさりたい場合にはお気軽にお問合せ下さい。
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