【産地】福岡県
【品質】絹100%
【製作者】人間国宝 小川規三郎
【長さ】仕立て上がり約370cmにさせて頂きます。
ご希望の長さがございましたらご注文手続きの際、フリー記入欄に記載ください。
※最大375cmまで可能です。
二度と出会うことがないかもしれない
小川規三郎(1936年11月生)が生み出す究極の定番。生誕約780年にも及ぶ博多織の歴史に育まれる中 最高峰と称えられ、人間国宝に認定される小川規三郎氏の作品に触れると身も心も魅了されるのです。
これほどまでに心揺さぶる博多献上に出会う事が今後あるのでしょうか。
手にすれば感じる肌に吸い付くような一体感、静かに語りかけてくるような穏やかさ、しかし確かに感じる揺るぎない信念がそこに宿っているのです。
今まで多くの献上博多帯に触れてきましたが、その風合いの異質さにいつも驚かされるのです。
博多織は細い縦糸に太い緯糸をしっかりと打ち込むことで生まれる張りのあるしなやかさが魅力です。しかし小川規三郎氏の博多織はそのことよりも肌に吸い付くるようなしっとり感に満たされ「これこそが本物の博多織なのか」そう思い知らされるのです。
現在86才、新たに作品を製作されることは無いであろう為、今後は中古品しか出会うことが出来ないかもしれません。
今回、博多産地メーカーの所蔵品が市場に出されましたのでご縁を頂き入手することが叶いました。
小川規三郎 ~わが人生に悔いなし~
本作品の製作者 小川規三郎氏の父であり師でもある善三郎氏も人間国宝であり、後継ぎとして生まれた規三郎氏は子供のころから非常に厳しく育てられました。
高校生の頃から博多織の世界に足を踏み入れた規三郎氏は、30年も博多織に携わった40才半ばになってなお父親から「お前はまだ丁稚だ」としかられたこともあり、博多織の仕事をやめたくなったこともあるそうです。
手取り足取り教えてくれるわけでもなく、ひたすた現場での父の仕事を見よう見まねで盗むしかない中で、心が引き裂かれるような努力をされてこられたであろう事は想像に難く有りません。
そんな善三郎氏が80才を超え、体調を崩し入院される際にこんな言葉を掛けられたそうです「お前、欲しいものはないか」…それは生まれて初めての優しい言葉であったためその時は答えられなかったようですが、亡くなる3日前「この前の言葉を覚えていますか?私は親父のこの手が欲しい」そう伝えると善三郎さんは優しく微笑まれたということです。厳しい師弟という関係の中に秘められた子への愛情とともにある師の尊厳と、父の技術への嫉妬を超えた尊敬の念が詰まった逸話と言えるのではないでしょうか。
善三郎氏が亡くなられた後、規三郎氏に対する業界からの風当たりは強く、父親の存在の大きさを痛感した規三郎氏は、父親と同じものを作っているだけではだめだと日々勉強と研究を重ね、2003年(平成15年)に人間国宝に認定されるまでの20年間は規三郎氏にとって一番厳しい模索の時期だったとおっしゃっています。
規三郎氏の言葉に次のようなものがあります。
「伝承は古く伝統は新しい」
「伝承は受け継ぎ伝えていく」
「伝統は良きものを上に乗せ更に時代と共に流れていきます」
どんなに素晴らしい伝承の技術が有っても、常に新しいアイディアがなければ廃れてしまうという意味なのです。なんて深い言葉なのでしょうか。
正確に精密に早く というだけなら機械で十分です。しかし伝統に培われた技術を人の知恵によって更に高みに導かなくてはならない。それこそが手仕事の真の素晴らしさだと思い知らされます。
また『ただ作っているだけではダメ、外に飛び出して情報を得て未来を読み挑戦する、失敗を沢山してその中から学んでいく。ただ同じ間違いは二度と繰り返してはいけない。一度で得る力を身につけることが大切です。失敗をせめてはいけない。失敗をしない人は何もしないから失敗しないのです。失敗を怖がることはありません。』とも言われています。
座右の銘は「わが人生に悔いなし」
子供のころから父親から鍛えられ、父親が他界されてからは世間に鍛えられ、生涯学ぶことを忘れない規三郎氏の言葉には本当に説得力があり、感銘を受けるとともにその信念が作品に宿り、形となって至高の博多織が生み出されるのです。
本品は、「独鈷(どっこ)」と「華皿(はなざら)」に親子縞と孝行縞をあしらったベーシックな献上博多柄なのですが、シンプルだからこそ誤魔化しが効かない難しさが有ります。
金糸や銀糸を使った煌びやかなものや意匠を凝らしたものは、その華やかさや個性的なデザイン性に目が行き多少の粗は隠れるものです。しかし、献上博多柄のような定番柄の中から放たれる他にはない魅力を感じさせる織の技術と配色の美しさは「これぞ人間国宝 小川規三郎の作品」と言わざるを得ません。
私のような未熟者でさえそう感じさせてくれる素晴らしさは言葉では表現できず、どんな言葉もわざとらしくなってしまうのです。
ただ感じる・・そうお伝えするしか他に手立てが無いのが非常に残念でなりません。
織り始めの部分に織り出された”小川規三郎”の名前は、「私が責任をもって織り上げます」という決意表明の意味が込められています。己の魂を注ぎ込み この一本を丹精込めて織り上げる 命を削る思いで作り上げられたと言っても大袈裟では無いのかもしれません。
広く世間に流通している機械織の献上博多帯はどうしても生地が波打ってしまいます。しかし、小川規三郎氏が織り上げられた本作品は、帯の両端が乱れなく一直線になり熟練の感覚と技術によって調節された緯糸の打ち込みの力加減が波うちのないフラットな表面を生み出します。
しっかりと力強く、そして繊細な感覚により一本一本緯糸が打ち込まれるまさに究極の手業のみが可能とする逸品なのです。
本品 人間国宝 小川規三郎氏の八寸名古屋帯はもう製作されていないと伺っております。1936年11月生まれの同氏は86才になられ 体力的にも納得出来る作品が作れなくなられたのかもしれません。織り始めに小川規三郎の名前を織り込み「私が責任をもって精魂込めて織り上げます」という決意表明をされる同氏。そのためには尋常ならぬ体力と気力を必要とするのでしょう。
現在、規三郎氏の作品は博多産地問屋に僅かしか現存していないと思われます。まだ消費者の手に渡っていない名古屋帯があと何本あるのかは分かりませんが ごく少数なのは間違いありません。
近い将来 流通在庫が無くなるに違いない品のため、消費者以上に小売店・問屋筋の方が貴重品だと感じています。今回ご縁を頂き1点ではございますがお迎えすることが叶いました。
博多織のファンの方は勿論 着物愛好家の皆様もこの機会をお見逃しなく お手元にお迎えいただきましたら幸いです。
スポットガーデン 筑摩和之
※モニター環境などにより写真と実物では若干色目が異なって見える場合がございます。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページ内のオプション選択からお仕立て方法などお選びいただき商品と同時にご購入下さい。
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【お仕立てについて】
本品は手縫いとさせていただきます。
【八寸名古屋帯】
1「松葉仕立て」
4,860円
手先から約38cm(1尺)半分に折ってかがります。
※最も一般的なお仕立て方法です。
※手先が半分になっているので締めやすくなっています。
2「平(開き)仕立て」
4,860円
手先を半分に折らずに全て平らのまま仕立てます。
※胴巻部分の帯巾を調節したい方におすすめです。
【ガード加工】※水をはじく加工です。
3,240円
※お仕立て期間 約3週間
※ゴールデンウイークや年末年始、お盆などを挟む場合は通常よりも長くお仕立て期間を頂きます。
※ご購入お手続き完了後 商品発送予定日のご案内を店舗から別途メールにてお知らせいたします。