本場大島紬
色泥染 縦緯絣 手織り
世界三大織物 絣の女王
幸福への願いを四葉のクローバーにのせて、フレッシュな感性を絣に托す
鮮やかなグリーンにキラキラと輝く絣の粒が幻想的な美しさを放ちます。日本が誇る世界三大織物の一つ「大島紬」。工芸品の風格と抜群の着心地の良さに心躍らさせるのです。四葉のクローバーがまるで浮かび上がっているかのようにふわふわと風になびき、陽の光を浴びているかのような優しさを漂わせます。
そしてバックの柄がジグソーパズルになっており遊び心をくすぐるのです。
【産地】鹿児島県
【製造元】九野織物
【品質】絹100%
【製織】手織り(高機)
【絣技法】7マルキ片ス式
【生地幅】約39cm(裄丈約72cm 1尺9寸まで対応)
【着用時期】10月頃から翌年5月頃(袷の季節)6月 9月(単衣の季節)
絣糸を作り 糸を染め 織り上げる それぞれの工程に携わる職人の誰が欠けても完成しない。手仕事が集結する事で煌くような1枚の芸術作品が生まれるのです。
フランスのゴブラン織 ペルシャ絨毯と並び 世界三大織物の一つに数えられる本場大島紬 。細密な絣模様の美しさ、抜群の軽さ、シュッシュッという絹鳴りの粋な響き、日本においては結城紬と並び称され 着物愛好家だけでなく誰もがご存知であろう圧倒的なブランド力を持つ織物に間違いありません。
作品名 PEACE(ピース)
幸せの訪れを願う四葉のクローバー。
本品は、大島紬の織元有志の会「大島紬ひっとべの会」が主催された「大島紬デザイン公募展」において、高校生が受賞した作品を元に商品化された大島紬です。鹿児島の高校生以上の学生を対象とし、約300作品の中から8点が入選されました。
※受賞者の高校名と生徒さんの名前についてここでは伏せさせて頂きます。
クローバーに目を奪われてしまいますが、バックの柄を見るとジグソーパズルになっているのが分かりますか? 平和のPEACE(ピース)とパズルのPIECE(ピース)を掛けているのでしょうか?とってもユニークな遊び心が何とも言えないお洒落さを感じさせますね。
プロのデザイナーでは無く、若いフレッシュな感性が生み出した作品からは素直さがダイレクトに伝わってくると思いませんか?気を衒わず想いをそのまま表現する純真さが感じられ、気持ちがパッと明るくなりますね。
バックの柄がジグソーパズルになっています☆
リアリティな立体感の秘密
クローバーを現した絣模様が何故こんなにも立体的に見えるのか不思議ですね。
その理由わかりますか?
よーく見ると気が付くかもしれません。
私もこの作品を仕入れた時に織元さんから教えていただくまでは、絣の密度だけの効果だと思っていました。絣を密集させる所と感覚を空ける所を作り奥行きを出しているのだと。確かに一般的には密度により立体感を表現しているのですが、本品は更にもう一手間掛けられています。
絣の粒の大きさに変化を付けているのです。締め機で絣締めをする工程で、防染する為の糸の本数を変えることで絣の大きさを変化させています。一本の糸で防染するよりも二本の糸で防染する方が白く抜かれる面積が増えて絣の粒が大きくなるという理屈です。そのようにして大きな絣と小さな絣を作り、密度と併用する事で、より立体感を強調する事が可能となるのです。
下の画像を見ると、左側は一つ一つの絣の粒が大きく更に隙間が空けられており、右側は小さな絣を密集させています。故にクローバーの中心部分と外側部分の奥行きが絵画のように表現できるのです。少しの工夫ですが、絣作りの緻密な計算と手間暇、そして高度な技術が必要とされるのです。
7マルキ 片ス式
本場大島紬は染め分けた糸を組み合わせて柄が織り出されています、設計図を基に糸を染め分けるのですが、品によって絣糸と地糸(無地糸)の配列の違いがあり、本品は7マルキ 片ス式の大島紬です。
「マルキ」とは
タテ糸に用いられている絣糸の本数を表す単位の事で、
1マルキ=80本の絣糸を意味します。
ゆえに7マルキ=7×80=560本の絣糸がタテ糸に用いられている事になるのですが 本品は片ス(かたす)式の構成になっていますので560本の半分 280本の絣糸がタテ糸に用いられています。
そして絣糸1本 地糸3本の配列が繰り返されています。
※地糸とは絣の入っていない無地の糸。
片ス?なにそれ? 聞きなれない方も多いのではないでしょうか。
元来 大島紬のタテ糸構成は絣糸を2本連続して並べ その間に地糸を入れ込むもので その絣構成のことを一元(ひともと)と呼びます。
※元=2を表し 一元=2本の絣糸の事を意味します。
その配列を基本として7マルキ=560本の絣糸が15.5算(1240本)のタテ糸総本数の中に使用されているという事なのです。しかし片ス式と呼ばれる絣糸1本に対して地糸を絣糸の間に配する構成の絣が開発され 現在製造されている殆どの大島紬が片ス式となっています。
※片ス=1本抜くという意味からその名が付いたという説が有ります。
※ヨコ糸は 絣糸2本 地糸2本の配列で打ち込まれていきます。
7マルキ片ス式で製織された大島紬は絣の粒々がローマ字のTの形に見えるのが特徴です。
ローマ字のTを逆さまにしたような絣柄が連なっているのが7マルキの特徴です。
大島紬は2度織る
大島紬は明治時代中頃まで芭蕉で糸を括り防染していました(本場結城紬と同じ手法です) 明治40年頃に「締機(しめばた)」と呼ばれる手法が開発され飛躍的に生産能力が向上し現在のような細密な絣柄が作れるようになりました。
下の画像が締機の工程です。
タテに白く見えるのは木綿の糸で、ヨコに絹糸を織り込んでいきます。
木綿糸で染めたくない部分を挟みこみ防染します。
こうして織上がったものを絣筵(かすりむしろ)と呼びます。
織上がった絣筵を染料に浸けることで木綿糸で挟まれていない部分が染まっていくのです。
この締機の工程は締めが甘いと絣が滲んてしまう為 強い力が必要とされますので 主に男性の仕事です。
染め上がった絣筵を解いて完成した絣糸と無地の糸を機に掛けて手織りで製織されて大島紬が完成します。
また写真右は高機で手織りされる様子ですが 絣がズレないよう繊細さが必要となり 主に女性の仕事とされています。
これが「大島紬は2度織る」と言われるゆえんなのです。
※締機 綿糸の縦糸に 絹糸を緯糸として織り込み締めて絣筵の状態にします。
摺り込み染色
本品の場合、絣の粒がグリーンの色で染められています、これは「絣むしろ」の状態で色を染める部分を解き、そこに専用のヘラを使って色を摺り込んでいくことにより染色されており、単色の大島紬よりも更に1工程手間暇をかけて作り上げられます。
※下左 絣筵(かすりむしろ)を部分的に解き(目破り) (右)解いた部分に色を摺り込みます。
手織りによって命を吹き込む
本品は手織りによって製織された本場大島紬です。極上の細い糸を丁寧に織り上げた大島紬の風合いは 滑らかでしなやかな極上の着心地の良さを実感していただけます。
締機と染色によって仕上げられた糸を最後に布に仕上げる手織りの工程。布の声を聴きながら しっかりと均質に織り上げる。絣の柄がズレないように細心の注意を払いながら織り進める作業は集中力と根気強さ そして何よりも確かな技術を要するのです。
昔の大島紬は「イザリ機(地機)」で製織されていましたが、明治の頃に高機織りの技術が開発されたことから飛躍的に生産数量が伸びました。
※イザリ機(地機)は織子が地面に足を伸ばして座り込み経糸を腰に巻いて張力を調整しながら製織する最も原始的な製織方法です。
高機は一般的に良く知られている椅子に腰かけて製織する方法です。
その後、機械技術の向上と効率アップの為 半自動織機や自動織機も用いられるようになり現在に至っています。
※半自動織機は緯絣の大島紬において用いられることが多く、1人が1台の織機に付き 絣の位置を手で合わせながら緯糸の打ち込みは動力を用いています。この製織方法も「手織り」に位置づけられています。
色泥染・・しなやかな糸の仕上がり色泥染とは、泥田で染める一般的な泥染めにとは異なり、薩摩焼(白薩摩)に用いられる白い泥土によって、製織前の糸を染める技法です。締め機によって絣糸を作り、擦り込み技法でグリーンを染めた最後に泥染めを行います。色泥染といっても色を染める為に行うものではありません。また、泥染めをせずとも製織する事は出来るのですが、泥染する事で糸がしなやかになり、着心地の良さに繋がります。そして糸が丈夫になるとともに、まろやかな艶が出るのです。※本来の泥染は、車輪梅(テーチギ)で薄茶色に染めた糸を泥に浸ける事で化学反応を起こし黒茶に変色(媒染)させるものです。泥染の副産物として、しなやかさと丈夫さが加わります。※余談…泥田は奄美大島にしかない為、鹿児島県本土の織元が製造する泥染大島も泥染めは奄美大島で行われています。ゆえに、鹿児島県内地で泥染と同様の効果が得られるように色泥染の技法が取り入れられていると思われます。(理由を聞いたわけではないので筑摩の推測です。)
絹のダイヤモンド 絣の女王 本場大島紬。地元の女子高生が考案したお洒落なデザイン「PEACE」四葉のクローバーが幸せを運びます。伝統の技とフレッシュな感性が融合して生まれた一級品。織元さん自体が「冒険しました」と仰るほどの個性あふれる魅力を放ちます。2024年1月に京都で行われた「紬コレクションin京都」を訪れた際に数ある大島紬の中でひと際目を引かれ仕入れてまいりました。華やかさと重厚感を兼ね備えたお洒落をお楽しみください。
スポットガーデン 筑摩和之
※写真と実物ではモニター環境などによって若干色が違って見えることがございます。
※価格にはお仕立て代は含まれておりません。(お仕立てはオプションよりご注文下さい)
※ご購入手続き完了後、すぐに注文確認メールが届きます。(自動配信メール)
その後、通常24時間以内に店舗(店主 筑摩)よりお仕立て内容についてのメールを送りますので今しばらくお待ちください。
お仕立てに関して詳しくはこちらをご覧ください。
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