工藝品 究極のコラボレーション
原始の布 しな布
古代縄文時代まで遡るといわれる歴史を績む
強靭で通気性の良い布が静かに佇む本物の風格
南部菱刺しの奏でる民藝美
本藍染の深み色
絹のダイヤモンド天蚕糸×幻の 蓮糸
年間通してお楽しみ下さい。
【帯地生産地】山形県鶴岡市関川(しな布)
【帯地品質】シナノキ:100%
【染色】本藍染(天然灰汁発酵建):米沢市 佐藤喜一
【刺子】青森県八戸市:伝統工芸士 中村晃子 南部菱刺し
【刺子品質】天蚕糸(長野県安曇野市)
【長さ】約500cm
【着用時期】夏単衣からオールシーズン
これほどまでに伝統工芸を極めたコラボレーションを未だかつて目にしたことはありません。
素材、染め、技術 各工程において職人たちが技を結集させて出来上がった品をご紹介させていただきます。
以下本品に貼付されている説明書きを元に記載します。
本製品は各産地による様々な職人の手によって作られています。
生地となる帯地(しな布)・・山形県鶴岡市関川で作られている日本最古の織物「しな布」を採用
染色(本藍染)・・出来上がった「しな布」を米沢市の染織人 佐藤喜一氏によって本藍染(天然灰汁発酵建)の技法にて染色を行います。
柄刺し(南部菱刺し)・・青森県八戸市の伝統工芸士 中村晃子氏の手によって日本三大刺子の一つ「南部菱刺し」を施しました。
菱刺し素材・・刺し糸は長野県安曇野市で育てた絹のダイヤモンドとも言われる最高級糸「天蚕糸」と蓮の茎100キログラムからわずか5グラムしか取れないと言われる幻の糸「蓮糸(ぐうし)」を採用しています。
織・染・糸・技術に携わる全ての職人の技術を余すところなく施した逸品です。
しな布・・シナフはアイヌ語で結ぶの意
山形県鶴岡市から新潟県村上市の山岳部で細々と織り継がれる原始の布「しな布」
シナノキの樹皮を剥ぎ靭皮を取り出し細く裂き、そして繋ぐことで糸を作り織り上げる。縄文時代よりこの糸を用いて袋や衣類を作ってきた長い長い歴史を持つのが古代の布「しな布」です。
強靭で水にも強い性質を持ち、使えば使うほどに柔らかくなり味わい深くなるこの織物は通気性が良い事から盛夏の帯として上布(麻)のお着物との相性も抜群です。
古代においては季節を問わず衣類として用いられていたのですが、ざっくりとした太い植物繊維の温もりや、天然の趣き深さゆえに、現代においても単衣や夏だけでなく袷せの着物とコーディネートして年間通じてお使いいただきたいのです。「しな布は夏物」という固定観念を捨てて頂きたいと思います。
しな布 製作過程
梅雨の季節に男たちが山に入りシナノキを伐採します。樹木が雨で水分を含む為 皮が剥ぎやすくなるためです。
剥いだ樹皮の内皮を更に何枚にも薄く剥ぎ水に浸けた後、木灰を入れた湯で煮ます。川の水で洗いまた煮て洗うという工程を繰り返し柔らかくします。それらは女性たちの仕事でその柔らかくなった皮を爪を使って細く糸状に裂いていきます。
糸状になったものを手作業で繋いでいくのです(績む※うむ)
手績みの作業は繋ぎ目が出ないように繊維の中央に切れ目を入れ次の糸をくぐらせ撚りをかけ抜けないようにします。
その仕事はそれこそ気が遠くなるような地道な作業であり、高度な技術を必要とします。シナノキの伐採から糸を作り上げるまでには気が遠くなるような長い月日がかかります。
原始の布は糸が完成するまでが本当に大変である為 糸が出来れば殆どの工程が終わったといっても過言ではありません。
その手間暇がかかった糸を手織りによって織り上げ布が出来上がるのです。
原始布の魅力
そもそも原始布(古代布)とは、 麻や木綿の栽培が発明される以前の人類が衣服を身に着ける頃より用いられてきた布を指し、縄文から弥生時代の頃より用いられてきたとも想像され、しな布や藤布(ふじふ) 葛布(くずふ)芭蕉布(ばしょうふ)などがあげられます。奈良時代の頃より文献にも登場するようになりました。因みにしな布は9世紀の神楽歌に「木綿(ゆふ)作る 志名乃波良(しなのはら)にや朝尋ね・・・・」とあるのが初見だといわれています。
その後、苧麻や大麻といった麻を原料としたものや木綿織物の開発など技術の発達により、原始布は徐々に衰退していきました。
現在においてはそれら原始布はごく限られた地域で生産されるのみになり、しな布も新潟県から山形県の一部の地域で細々と伝承されるのみになってしまいました。
そして職人の高齢化が進み 近い将来これら原始布がいつまで存続出来るのか分からないのが現実なのです。
南部刺子
その昔、山形県南部地方の農民たちは非常に貧しく麻の衣服しか着用する事が許されませんでした。ざっくりとした隙間の開いた布は風を通し真夏には涼しくて適しているのですが、真冬の厳しい寒さは耐え難いものでした。生地の隙間を麻糸を用い刺子刺繍によって埋めることで寒さを防ごうと考えた農家の女性らの知恵が生み出したのです。
貧しさの中、家族を想い一刺し一刺し隙間を埋めていったこの作業が菱形をベースとした精巧な柄に変化し、芸術的ともいえる工芸品へと昇華されたのです。
現在においても「津軽こぎん」とともに全国の工藝愛好家から人気を博する伝統工芸品として細々とではありますが継承され続けています。
下の画像は生地を裏から見たものです。織物ではなく生地に糸を刺し、柄が表現されています。
絹のダイヤモンド「天蚕糸(てんさんし)」
天蚕はヤママユガの1種で自然に生息する野蚕です。
長野県安曇野市 穂高有明地区では天蚕糸の生産を200年以上前から行われています。
家蚕(かさん)と呼ばれる一般的なお蚕さんが桑の葉を食べるのに対し、天蚕はクヌギの葉を食べて成長します。病気に弱い天蚕の飼育には非常に手間暇がかかるとともに、一つの繭から採取できる量が家蚕の半分程度ですので貴重なお品になります。
天蚕糸は通常の絹糸に比べてしなやかでシワになりづらく「絹のダイヤモンド」と呼称されるほど高級な糸になります。
うっすらとグリーンがかった色味が特徴で美しい光沢を放ちます。
蓮糸(ぐうし)~幻の糸
下の画像の菱の柄を表現している薄茶色の糸は蓮の茎の繊維を糸にしたものが用いられています。茎を折ると蜘蛛の糸のような極細の繊維を撚って作られ100キロの茎から僅か5グラムしか採取できず幻の糸とされています。
天蚕糸の光沢感の中に、薄茶色の天然植物繊維の味わい深さがひと際際立ちます。
本藍染~天然灰汁発酵建
本品は、織上がった「しな布」を北海道産の藍を用い米沢市の職人 佐藤喜一氏の手によって後染めされています。
黒に近い濃藍に染まった「しな布」が天然の深みを感じさせる色味に仕上げられています。
ご注意
本品は藍止め加工が施されておりますが、色落ちを軽減させる程度の効果になりますので色落ちが発生する恐れがございます。実際に白い布を擦ってみると、ほんの少しですが白い布に色が移りました。
特に薄色のお着物とコーディネートされる場合はお着物と帯の間に手薄の手拭いなどを当て布として入れて頂く事をおススメ致します。
万が一、お着物に藍の染料が移染した場合は着物クリーニング専門業者にご相談ください。
天然藍の為、完全な色落ちは避けられませんので予めご理解いただきますようお願い申し上げます。
本品は、しな布及び菱刺しの特性上、帯の両脇が一直線ではなく波打っています。決して不良品ではございません、味わいとしてご理解ください。
自然の恵みを原料として妥協を許さない職人技が詰まった正に逸品中の逸品。今回特別にお声掛け頂き入手させて頂きました。これほどまでに手間暇が掛かった品は製造元においても滅多に作られることはございません。本来であればかなり高額になるお品でありますが、製造元様のご好意により本当に利益を度返しした価格でご提供させて頂く事が叶いました。
季節を問わずオールシーズンお使いいただけます。
お目に留まりましたら一生の宝物としてお手元にお迎えいただきましたら幸いです。
スポットガーデン 筑摩和之
※モニター環境や画像処理の関係上 実物の色目と若干異なって見える場合がございますのでご理解の上お求めください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページ内に設置のオプションからお選びください。