滅多にお目にかかる事の出来ないレアな絣
本場大島紬 割込み式 正藍染 観世水文様
藍染と泥染が組み合わさった深み色
観世水文様が個性溢れる装いを演出
【産地】鹿児島県
【製造元】大島紬美幸
【品質】絹100%
【染織】絣糸 泥染 地糸 正藍染
【生地幅】約38.5cm(裄丈約71cm 1尺8寸7分まで対応)
【着用時期】10月頃から翌年5月頃(袷の季節)6月 9月(単衣の季節)
細密な絣の技術で織り出された存在感のある観世水文様 水の流れが渦を巻く美しい曲線が 麗美な雰囲気漂う着姿を演出します。
フランスのゴブラン織 ペルシャ絨毯と並び 世界三大織物の一つに数えられる本場大島紬 その複雑な絣模様の美しさ 抜群の軽さが生み出す着心地の良さ シュッシュッと粋な絹鳴りの響き 日本において結城紬同様 和服にご興味のある方なら誰もが憧れる織物ではないでしょうか。
大島紬を既にお持ちの方も多い事と存じますが 本品はそんなメジャーな大島紬の中にあっても滅多にお目にかかる事の出来ないお品です。
高度な絣の技術 割り込み式
大島紬の絣を表す表現で マルキという単語をよく耳にしますね 7マルキや9マルキと言った絣の細かさ(タテ糸に使用されている絣糸の本数)を表す単位で表現される大島紬、これらが一般的に良く目にするものです。
ちょっと難しいですが マルキについて簡単に解説します。
「マルキ」とは タテ糸に用いられている絣糸の本数を表す単位の事で、
1マルキ=80本の絣糸を意味します。
ゆえに7マルキ=7×80=560本の絣糸がタテ糸に用いられている事になります。そして配列は絣糸1本 地糸3本が繰り返されています。
※地糸とは絣の入っていない無地の糸。
9マルキなら9×80=720本の絣糸がタテ糸に用いられており、配列は絣糸1本 地糸2本が繰り返されています。
しかし、ここで関係しているのが一元(ひともと)と片ス(かたす)と言う実際に使用されている絣糸を表す言葉です。
元=2を表し 一元は2本の絣糸という意味になます。 絣糸が2本連続して配されており 本来マルキで表現する絣の本数はこの一元式の絣配列の場合に用いられています。
一方「片ス式」の場合はその半分の絣糸が用いられており片スの語源は「1本抜く」つまり一元絣(2本)から1本抜いたもの という事から付いたという説があります。
つまり、先にご説明した7マルキと9マルキのタテ糸の配列
7マルキ=絣糸1 地糸3の繰り返し
9マルキ=絣糸1 地糸2の繰り返し
これらは片ス式の配列であり、実際に使用されている絣糸の本数は 7マルキ=560本 9マルキ=720本の半分の本数 7マルキ=280本 9マルキ=360本になります。
正式な本数の絣糸が用いられている一元式のタテ糸の配列は
7マルキ 一元=絣糸2 地糸2の繰り返し
9マルキ 一元=絣糸2 地糸1の繰り返し
であり絣糸の本数は 7マルキ=560本 9マルキ720本になります。
7マルキよりも9マルキの方が柄の元となる絣糸の本数が多い為 柄が細かくなり、一元は絣糸が2本並んでいますので片ス式よりも絣柄の粒々がハッキリとしているというのが特徴です。
かなり難しいですがご容赦下さいm(__)m
前置きが長くなりましたが ここまでが一般的によく目にする大島紬です。※一元絣も製造が難しい為 非常に希少性が高い大島紬です。
そして本品「割り込み式」と呼ばれる大島紬のタテ糸は以下のように配列されています。
絣糸2本 地糸2本 絣糸1本 地糸1本の繰り返し
絣糸を2本を連続して並べる一元式の配列と絣糸1本の片ス式の配列が交互に繰り返されています。その事で 絣がより複雑になり 柄に立体感が出て表情に変化が現れるのです。
割り込み式は絣糸を作る絣締めにおいても 製織の際の絣合わせにおいても より高度な熟練の技術が必要とされる為 それらが出来る絣職人や織職人が少なく流通している大島紬のほんの僅かなのです。
事実 本作品の織元さんにおいても1年に1柄のみ製造されるのみとなります。(※1柄につき16反分の絣糸が染められ1反づつ製織されていきます。)
この複雑で高度な割り込みの技術をふんだんに駆使し作り上げたれた大島紬が本品なのです。
※一元式の絣の間に片ス式の絣配列が割り込んでくることからその名が付いたと思われます。
割り込み式絣はアルファベットのIやEに似た細かな模様が合わられるのが特徴です。
また、無地場の中に飛ばされた絣は絣糸を2本並べられた風車のような形(一元)が現れるなど様々な形の絣の粒々が現れる事で 変化のある表情を見せてくれます。
正藍染と泥染めの併用
この大島紬をよく見ると 色目が少しブルーがかっているのがお分かり頂けると思います。一般的に目にする泥染め大島紬の茶褐色とは少し趣が異なります。
それは地糸※無地糸を正藍で染められているからです。絣糸は泥染めで染色されており 茶褐色と藍色が組み合わさった深みのある独特の色合いに仕上がっているのです。藍染の色も重厚感のある濃紺に染められている為 一見すると泥染め一色に見えますがなんとも味わい深いブルーがかった色目のお洒落さが漂います。
本品はタテ糸1,240本を配した15.5算(よみ)と呼ばれる大島紬です。割込み式の糸の配列が絣糸2本地糸2本 絣糸1本地糸1本(ヨコ糸も同順)が繰り返されていますので全体の半分が絣糸 もう半分が地糸となります。 藍染糸と泥染め糸が半々の割合で用いれている計算になります。
正藍染
本品の地糸は琉球藍を使用し奄美大島で染められています。正真正銘の発酵だての天然藍ですので人工的に作られた合成藍とは一味も二味も違った深みのある天然の美しさを実感していただけます。
※藍の特性上 色落ちし易いですので藍止め加工を施させていただきますが、100%色落ち防止を保証する事は出来ませんので予めご理解下さい。
泥染め
画像左(テーチ木染め) 画像右(泥染め)
絣糸は奄美大島で泥染めされています。鹿児島本土には泥染めする泥田が有りませんので地球印の奄美大島紬はもちろん 旗印の鹿児島本土の大島紬も全て奄美大島で泥染めされています。
泥染めとは テーチ木(車輪梅)を煮たしたお湯に糸を浸けて茶色に染めます。そして泥田(でいでん)と呼ばれる染場で鉄分を多く含んだ泥水を揉み込みます。そうすることで、テーチ木に含まれるタンニンが鉄分によって化学反応を起こし徐々に黒く変化していきます。この作業を何度も何度も繰り返し美しい輝きを放つ褐色に染まるのです。
泥染めと言いますが 泥で染めているわけでなく、テーチ木で染めて 泥で媒染する事により色を変化させているわけです。
泥染めを施すと 糸が丈夫になるとともに しなやかな風合いになるというメリットもあります。
画像で青く見える糸が藍染された地糸 茶褐色の糸が泥染された絣糸です。白い部分は絣締めによって防染されることで泥染によって染まらずに白く残った部分になり これを組み合わせて柄を織り出します。
大島紬は2度織る
大島紬は明治時代中頃まで芭蕉で糸を括り防染していました(本場結城紬と同じ手法です) 明治40年頃に「締機(しめばた)」と呼ばれる手法が開発され飛躍的に生産能力が向上し現在のような細密な絣柄が作れるようになりました。
下の画像左が締機の工程です。
タテに白く見えるのは木綿の糸で、ヨコに絹糸を織り込んでいきます。
木綿糸で染めたくない部分を挟みこみ防染します。
こうして織上がったものを絣筵(かすりむしろ)と呼びます。
織上がった絣筵を泥染めすることで、木綿糸で挟まれていない部分が茶褐色に染まっていくのです。
この締機の工程は締めが甘いと絣が滲んてしまう為 強い力が必要とされますので 主に男性の仕事です。
染め上がった絣筵を全て解き完成した絣糸と無地の糸を機に掛けて手織りで製織されて大島紬が完成します。
また写真右は高機で手織りされる様子ですが 絣がズレないよう繊細さが必要となり 主に女性の仕事とされています。
これが「大島紬は2度織る」と言われるゆえんなのです。
観世水(かんぜみず)文様
能楽の観世流の紋所(紋章)として用いられている 水が渦を巻き流れている様子を表現した由緒ある柄です。流麗なしなやかさと 渦の力強さを併せ持ち 非常にお洒落で美しい着姿を演出してくれますので着物愛好家からも人気を博しているお柄です。
実際に仕立てた時の柄の出方は下のトルソー着装写真とは異なりますので予めご了承願います。
非常に希少な割り込み式絣の本場大島紬 日本人が古来より愛する藍染によるジャパンブルーと重厚な泥染の茶褐色が組み合わされた美しい色、力強さと流麗な”しなやかさ”を併せ持つ観世水のデザイン。そして これほどまでに贅沢に絣を配した重厚な大島紬には滅多にお目に掛かれるものではございません。既に大島紬はお持ちだという方も間違いなくご満足いただけるお品と自信をもっておススメ致しますので是非お手元にお迎えいただけましたら幸いです。
※写真と実物ではモニター環境などによって若干色が違って見えることがございます。
※価格にはお仕立て代は含まれておりません。(お仕立てはオプションよりご注文下さい)
※ご購入手続き完了後、すぐに注文確認メールが届きます。(自動配信メール)
その後、通常24時間以内に店舗(店主 筑摩)よりお仕立て内容についてのメールを送りますので今しばらくお待ちください。
お仕立てに関して詳しくはこちらをご覧ください。
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