【産地】沖縄県 石垣島
【製造元】平良佳子 石垣島織物事業協同組合理事長
【品質】苧麻100% 緯糸:手績み
【染料】草木染:藍 福木
【着用時期】6月~9月(単衣~盛夏)
【長さ】仕立て上がり約370cmにさせていただきます。
※最大390cm程度まで可能です。ご希望の長さがございましたらご注文手続きの際、フリー記入欄に記載ください。
沖縄県石垣島から届けられた希少な涼布 単衣から夏の装いを上質に。
着物愛好家の憧れ「八重山上布」。清潔感溢れると藍染絣が放つ天然の揺らぎはカジュアルさの中にワンランク上質な着姿に仕上げ、チミヌカタ(爪の形)を現した絣模様からスーッと伸びる流麗な絣足がスタイリッシュな帯周りを演出してくれます。
この上質な涼布の歴史は決して華やかなものではありません。江戸時代には人頭税として上布の献納を義務付けられた島の15歳~50歳の女性達が、血のにじむような思いで機を織っていたのです。昼は農作業 夜は機織りという過酷な生活を明治初期に至るまで課せられ、その後も明治維新後の琉球処分や第二次世界大戦といった消滅の危機を乗り越えたからこそ、今なお我々はこの美しい涼布を手に取ることが出来るのです。
本品の製作者であり、i石垣島織物事業協同組合の代表者でもある平良佳子さんは言います「先人は過酷な暮らしの中で織ってきた。だからこそ恵まれた環境にいる私たちは手を抜かず、良い仕事をしなければ。」この言葉が全てを物語っているのでは無いでしょうか。
八重山上布(やえやまじょうふ)
八重山諸島に浮かぶ石垣島を中心に伝承される苧麻(ちょま※からむし)を原料とした手織物。その起源は定かではありませんが、17世紀初め薩摩の国(現在の鹿児島県)の統治下におかれた頃、人頭税として貢納が義務付けられました。そして島の15歳以上の女子に一律のノルマを課し機織りを強要したのです。上質な麻布を納めさせたことから飛躍的に技術力が向上したといいますが、技術が向上したからといってもそれは島民の暮らしを裕福にさせるものではなく、重い人頭税に苦しめられながら血のにじむような苦労によって否応なくなされたのです。それらの織物は薩摩藩によって「薩摩上布」の名のもと全国に流通されました。八重山・石垣島といった彼女たちの存在など知られる由もなく、ただひたすら貢納の為に働かざるを得なかったのです。
明治に入り廃藩置県とともに人頭税が廃止されるとようやく島を潤わせる産業として発展していきました。しかし第二次大戦によって壊滅的な状況に陥り、他の沖縄の工芸品同様に一時期その姿を消してしまいました。戦後生き残った人々によって八重山上布は蘇り、現在もなお、夏の希少で贅沢な上布として着物愛好家を中心に絶大な人気を博しています。
八重山上布は手績みされた苧麻糸を使用して織り上げられています。
この苧麻を手績みし、糸にするまでの工程は本当に手間暇がかかります。苧麻を水につけて刃物で削りとり、また水につけて柔らかくして細くする。そして最後は人の指先で更に細く裂き、その短い繊維を繋ぎ合わせて1本の糸に仕上げるのです。
織物の命ともいえる糸作りですから単純作業とはいえ熟練の技術がなければ不揃いな糸になってしまい上質な織物にはなりません。
また、賃金も少なく職人の高齢化が進み後継者不足が深刻になっています。
職人達の高齢化により将来的な存続をも危ぶまれる手間暇の掛かった手織り物は、歴史の重みと相まってお洒落さの奥にプラスアルファ―の味わい深さを与えているのです。
海晒し八重山上布の特徴として、海晒しの工程があげられます。糸を作り、草木染料を持ちいて絣染めし手織りする。途方もない手間暇を掛けて織り上げられた布に施す最後の仕上げに布を海に浸して晒します。これにより柄がより鮮やかになるのだそうです。海にユラユラと上布が漂う様子は島の風物詩ともいえます。
緯糸には手績みの苧麻を、経糸は苧麻を紡績したラミー糸が用いられています。
拡大してみると、経糸のラミー糸は若干人工的な均一感が感じられますが、緯糸の手績み糸を見ると、人の手の温もりや味わい深い原始的な趣が見て取れるのではないでしょうか。
藍染によって染め上げられた手績み糸は、透明感や深みといった言葉では言い表すことの出来ない魅力を放ちます。
手織りの魅力
「とんとん♪ とんととん♪」南国の風に乗せて聞こえる機織りの音。ただひたすら機に向かい緯糸を打ち込んでいく。布の声を聞きながら糸を労わるように、しかし力強く織り進める手織りの作業は心を乱す事が許されない正確さが求められます。それは自分自身と向かい合い我を見つめ直すかのような作業であり、集中力と根気強さを必要とします。製織の際に麻は切れやすいため高度な技術と人の感度によって糸の状態や湿度などを見極めて打ち込み具合を加減する。機械織りでは決して感じることが出来ない優しさは手仕事がもたらす温もりであり、体に沿う締め心地の良さが手織り最大の魅力なのです。
沖縄に伝承される贅沢な麻織物「八重山上布」
ひんやりとした麻の肌触りと通気性の良さ、そしてシャリっとした手績み苧麻の風合いが涼を運び、先人たちの辛く悲しい歴史がエッセンスとなって心に響く作品に仕上がっているのです。
生産数の減少ゆえに年々手にする事が困難となり価格も上昇しております。目にすることが少なくなった八重山上布ですので、お目に留まりましたら是非お手元にお迎え下さい。価格においても自信をもっておススメ致します。
スポットガーデン 筑摩和之
手先は藍染のボーダーになっています。
仕立て上がり390cm程度で仕立てると手先の柄が全部出ますが、標準の長さ370cmで仕立てると先の柄は見えなくなりますので予めご了承下さい。
※写真と実物とはモニターや画像処理の関係上、若干異なる場合がございますので予めご理解ください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページに設置のオプションからそれぞれの項目をご注文と同時にお選びください。
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【お仕立てについて】
※本品は夏用の帯芯を使用させていただきます。
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てる
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけません。
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつけます。
※裏地の色はお任せになります。
(帯ガード加工)
・本品は天然植物繊維の為、ガード加工はおススメ致しません。
※国内手縫い仕立てです。
お仕立て期間:地入れ込み
名古屋帯仕立て・・約5週間
※開き仕立て・松葉仕立て・・約6週間
お盆・年末年始・ゴールデンウイークなどを挟む場合は1週間ほど余分にお日にちを頂きます。