柳崇~生絹(すずし)
柳宗悦の系譜を伝承
民藝の極み
静寂の中に漂う風格
綾綾織 絣 渋木染地 夏九寸名古屋帯
【製作者】柳崇(やなぎ そう)
【品質】絹100% (純国産絹:生絹※すずし)
【染色】草木染:渋木
【着用時期】単衣・夏 6月頃~9月
【長さ】お仕立て上がり:約370cmにさせて頂きます。(10cm程度手先の柄が切れますのでご了承下さい。)
※ご希望の長さがございましたらご注文手続きの際 フリー記入欄からお知らせください。
※垂れ先柄の場合は最大約380cm程度まで可能です。
※垂れ先無地の場合は最大390cm以上も可能ですが、手先の柄が切れますのでご了承下さい。
静かな佇まいの中に宿る本物の風格。工藝染織作家「柳崇(やなぎ そう)」氏が生み出す民芸美の結晶ともいえる作品は我々の心をつかんで離さないのです。
渋木染地 菱綾織 生絹九寸名古屋帯
渋木によって染め上げられたまろやかで渋い光沢が揺らぎをもたらし、菱綾織で表現された浮花織のボーダーが工芸美を感じさせます。そして生絹(すずし)の糸を用いた帯地の清涼感は夏の装いを軽やかに仕上げてくれるのです。
地色は薄い白茶ですが、画像では色目が忠実に出ておりません。
ご了承の上ご覧いただきましたら幸いです。
柳宗悦より伝播された民藝の美
この絹布を語るうえで、柳家の歴史と信念を知らねばなりません。
本品の製作者であられる染織家”柳崇(やなぎ そう)”さんの染織の美にたいする根幹をたどると、民芸運動の父とうたわれる”柳宗悦氏(やなぎ むねよし)”に行きつきます。
明治の頃に志賀直哉、武者小路実篤らとともに雑誌「白樺」を創刊し、ロダンやゴッホといった西欧美術を世に紹介したのが同氏の民芸運動活動の始まりです。
そもそも「民芸」とはいったい何なのでしょうか。
それは、庶民の生活から生まれた日常品の中にこそ美しさがあるという発想から生まれました。
伝統的な手仕事の素晴らしさを悟った宗悦氏は、その民衆の伝統技術を調査するため全国を巡る中で「民衆的工芸」の略語として「民芸」という言葉を作り運動としました。
宗悦氏は、沖縄をはじめ全国各地の工芸品を調査する他、「行状のすぐれた念仏者」の研究にも力を注ぎ、浄土思想として仏教と結びつけて「民芸美術」の基盤としました。
「無名の職人が作ったものが何故美しいのか」それは「信と美」の深い結びつきにあるとし、その考えは仏教美術へと深まりました。
そしてその宗悦氏の思想を染織の分野で担ったのが同氏の甥である柳悦孝・悦博兄弟であり、その悦博氏の子にあたるのがこの作品を作り上げた”柳崇氏”です。
崇氏の父”悦博氏”はほとんど独学で染織を学び、彼に学んだ染織作家の多くは国画会や民藝館展などで活躍されています。
全国を廻り自分の目で工芸の仕事場を見たり、一枚の裂から技術を習得していった悦博氏の感性は、何物にもとらわれない自由な発想を生み出す能力を培い、弟子に対しても多くを教える事なく彼らの感性に任せて育てていかれたようです。
柳崇氏も『父に教わったことと言えば、染のやり方くらいで染織のことはあまり話してくれなかった』と語られています。
糸作りや色の配合の技術的なことは教えられても感性はその人それぞれが独自に持っているものであり、それは教えられるものではなく独自で生み出す自由な発想の中から自然に生まれてくるという考え方なのでしょうか。
自由奔放な中にも柳崇さんの技法は、どんな小さな工程でも精巧な理論に裏付けされており「理論を打ち立てて行動していくという気質」が柳一族の根幹にあり、その精巧な理論と生まれ持ったセンスともいえる感受性とが融合して初めて人の心を動かす作品が生み出されるに違いありません。
菱綾織
綾織りの組織で製織しながら直線状に緯糸を浮かせて菱形の浮織模様が表現されています。非常に細かな仕事の為、パッと見は単なるボーダーだと思われるかもしれませんが、僅かな織の変化こそが民芸美であり、日常に溶け込む美しさなのです。
絣織が生み出す工芸の魅力
菱綾織で表現されたボーダー部分は絣の技術を用いて色が染分けされています。クリームとグレーの染め分けとクリームと黄緑の染め分けのボーダーになっており、変化のある豊かな表情をかもし出すとともに、工芸味豊かな魅了を漂わせるのです。
グレーからクリームに色が変化しています。
黄緑からクリームに色が変化しています。
色と共に人生を歩む草木染の魅力
化学染料では感じることの出来ない草木染の魅力とは何なのでしょうか。
草木染料に混ざった天然の有機物が作用し、目の前に見える色の奥に更に重なり合った色が見えてくると言えばいいのでしょうか。
じっと見ているとそれが本当に何色なのかが分からなくなる感覚に陥ってしまい、それこそが草木染だけが持つ”色の深み”と言うものなのかもしれません。
そして草木染は日々色が変化していきます。しかしその歩みはあまりにも遅く目に見えて変わるものでは有りません。
草木染料は染められた後も歩みを止めず糸に浸透していくのだそうです。そして浸透するにつれて徐々に深みが増して色が変化していくのだと、柳さんにお会いした際に教わりました。
織物としてお客様の手元に渡ってからも日々成長していく草木染。その成長は実感できないかもしれません。しかし間違いなく貴女と共に人生を歩んでいるのです。身に着ければ身に着けるほど、時が経てばたつほどに愛着が湧いてくるに違いありません。
生絹の清涼感と味わい
糸にも拘りを持たれる柳氏 国産繭から手引された絹糸が用いられています。
お蚕さんが吐き出した絹の繊維はセリシンと呼ばれるタンパク質で覆われています。その物質は硬くお蚕さんを紫外線から守ります。その蚕から繊維を引き出し数本を引き揃えて一本の糸に製糸されるのですが、その後このセリシンで覆われた糸を精錬と呼ばれる工程により取り除き白く輝く糸に仕上げられるのが一般的です。
しかし 敢えてこのセリシンを落とさずにシャリっとした張りのある糸のままの状態を生絹(すずし なまぎぬ)と呼び それによって製織する事で肌触りに独特のざらつきが出て肌に密着せず清涼感が生まれるとともに 渋く光る趣深い光沢を放つ織物になります。工芸品らしいこの風合いと渋さが夏の紬のお着物にマッチし自然と調和した着姿を演出してくれるのです。
セリシンを残した生絹(すずし)の糸はざらつきがありシャリっとした清涼感を生み出します。そして渋みのある光沢感があり素材の味わいがお楽しみいただけるのです。
菱綾織の糸は生絹ではなく、精練された練糸が用いられていますので、渋い生絹の帯地の中で絹が持つ艶やかな光沢が映え、織の変化が際立ちます。
民藝の美を継承しながら独自の世界を織りに託す 染織作家 柳崇氏が生み出す至高の逸品名古屋帯。全国の着物愛好家やお洒落着物専門店から絶大なる人気と支持を得る作品です。シンプルな見た目とは裏腹に柳氏の技術と拘りが詰まった作品であり、商品説明のための画像が他の品より多くなってしまいました。それだけお伝えしたいことが盛り沢山詰まったお品だとご理解ください。
単衣から夏の装いを贅沢に彩ってみられてはいかがでしょうか。
誤魔化しの効かないシンプルな夏の装いだからこそ、本物が際立つのです。
その人気と生産数の少なさゆえに滅多に手にすることは出来ませんのでお目に留まりましたら是非お手元にお求めください。
スポットガーデン 筑摩和之
お仕立てをご依頼の際は、垂れ先を柄にするか無地にするかをオプション選択から選択してください。
手先にも柄が織り出されています。
お仕立ての際、垂れ先を無地にした場合に手先の柄部分が切れて柄が若干短くなりますので予めご理解ください。
※写真と実物とはモニターや画像処理の関係上、色目が若干異なって見える場合がございますので予めご理解ください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページに設置のオプションからそれぞれの項目をご注文と同時にお選びください。
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【お仕立てについて】
※本品は夏用の帯芯を使用させていただきます。
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てます。
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地を付けません。
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(綿モス)を付けます。
※裏地の色はお任せになります。
※夏用の裏地では有りません。
【ガード加工】・・3,240円
・雨やお食事時にも安心のガード加工
※水分を弾く加工です。
※国内手縫い仕立てです。
お仕立て期間:約4週間(名古屋帯仕立て)
※開き仕立て・松葉仕立ての場合は約4週間~5週間
※GW お盆 年末年始など長期休暇を挟む場合は通常よりもお日にちが掛かります。また、混みあった際にも日数を頂きますので着用日が決まっている場合は余裕をもってご依頼ください。