人間国宝 玉那覇有公 紅型染
研ぎ澄まされた型彫の技が生み出す古典美
沖縄の大らかな風土と悲しい歴史の中で育まれた伝統工芸品
花丸縦取り網目文様
【製作】玉那覇有公
【品質】絹100% 三眠蚕糸 花菱地模様
【染色】顔料・化学染料
【着用時期】9月頃~翌年5月頃 袷・単衣
【長さ】約550㎝
これぞ玉那覇紅型とも言える本作品。網目文様に花丸文様を縦取りされた古典的な作風は玉那覇ファンなら一目見て同氏の作品だと分かるのではないでしょうか。紅型染の命ともいえる型彫においてその右に出る者はいないと言われる技術から生み出される緻密で一切ブレのない線、その直線のシャープさと曲線の柔らかさが見事に調和しているのです。
花丸文様が女性らしい可愛らしさを漂わせながらブラウンの菱文様が全体を引き締めることで大人っぽさを併せ持ち 年代に関係なくお召しいただけます。
染め地に用いられている帯地は三眠蚕(さんみんさん)と呼ばれる糸が使用されています。この三眠蚕とは、お蚕さんが通常4回の脱皮を繰り返した後に糸を吐き繭を作るのに対して、特殊な方法で脱皮を3回に抑えた通常よりも小さなお蚕さんが作った繭から糸が繰り出されています。小さなお蚕さんが吐いた糸は細く 密度の高い織物に仕上がり、繊細でありながらも しなやか且つしっかりとした適度な張りのある風合いになります。希少性が高く非常に高価な糸である三眠蚕 この糸を用いたキメの細やかさが染めの美しさを更に際立たせているのです。
三眠蚕糸を用いた紋意匠縮緬の染地 花菱の文様が織り込まれています。
玉那覇有公氏の落款入り
【玉那覇 紅型】~研ぎ澄まされた型彫の技
紅型染の命は染型紙にあるといっても過言ではありません。そしてその型彫りにおいて右に出るものはいないと評される玉那覇氏。研ぎ澄まされた指先から生み出される精密で美しい輪郭線が、紅型染の魅力を余すところなく伝えています。
整然と配された文様には何の迷いも感じられない凛とした風格が漂います。
紅型染の特色でもある型紙は、”突き彫り”と呼ばれる技法で彫られます。
市販されているデザインカッターの刃を職人さんが自ら使いやすい大きさに加工し、刃を研いで作られます。
その道具を缶切りのように前に押し出ながら輪郭を彫り進めていきます。直線的に線を引いて切り抜かれる"引き彫り"から生まれるシャープさと異なり丸みのある線になり、柔らかで・自然で優しい印象に仕上がるのが"突き彫り”の特徴です。
紅型染が京友禅や加賀友禅、江戸小紋など他の染物と異なる部分は柄を「顔料」によって染められていることです。他の染物は一般的に「染料」が使用されています。水に溶けない顔料の力強い色彩は南国沖縄の太陽や色とりどりの自然の色にも負ない存在感をかもし出します。そして顔料の特性である水に溶けない性質が可能にする重ね染め「隈取り」の技法によって立体感・奥行きが生まれるのです。
紅型染の力強い存在感は
【顔料を使って柄を染める】
【隈取りによって奥行きが生まれる】
この2点が紅型染の魅力の大きな要素となっています。
【顔料を使って柄を染める】
【隈取りによって奥行きが生まれる】
この2点が紅型染の魅力の大きな要素となっています。
【玉那覇 有公(たまなは ゆうこう)氏について】
紅型染の第一人者 玉那覇氏がこの世界に入られたきっかけは、伴侶となられた道子さんとの出会いによるものです。
石垣島で生まれ育った同氏は、那覇に移り鉄工所で働かれていました、その当時に出会われた道子さん、実は紅型染 三宗家の一つ「城間家」14代当主である城間栄喜(しろま えいき)さんの娘さんだったのです。
その縁を機に紅型染の世界に入られたのが玉那覇有公氏が25歳の時でした。
全くの素人から始めた紅型染が順風満帆のはずは有りません。そもそも仕事に厳しい義父 栄喜氏、それに輪をかけて身内に対しては更に厳しく接しられたといいますから、職人として認められるまでには血のにじむような努力をされたのでしょう。「名門 城間家に泥を塗るようなことはできない。」それのみを心に刻み日々修行に励まれたのです。
そして、師であり義父でもある栄喜氏の下で紅型の技術を極めたのちに独立し、その後も日々高みを目指し製作に励まれ1996年には紅型染で初、国の重要無形文化財技術保持者(人間国宝)に認定されました。
【紅型染】
琉球王朝の頃より伝承される伝統工芸品「紅型染」第二次大戦により一度はこの世から姿を消しました。戦前、民藝運動の祖と称される「柳宗悦(やなぎ むねよし)」氏から「沖縄は染織の宝庫であり今なお高度な技術をもつ工芸品がこれほどまでに残っているのはまさに奇跡だ」と言わしめたその伝統工芸技術を、戦後の混乱の中蘇らせたのが、玉那覇氏の師である城間栄喜氏であり知念積弘氏でした。
南国沖縄の自然の美しさや大らかさの中に、人々の血のにじむような努力と情熱、そして戦争と言う悲しい歴史が深みとなって更に心に響く染物になっているのではないでしょうか。
紅型染を代表する玉那覇有公氏と城間栄順氏 工房としては城間紅型工房さんのほうが遥かに大きく 職人さんの人数も多い為 生産量も圧倒的に城間紅型の方が多いのが現状です。ゆえに我々業者でも玉那覇紅型を手にする機会は滅多にございません。しかし今回 問屋さんがオーダーされた帯が運よく1本だけ染め上がり タイミングよく入手することが出来ました。
本品は3通の柄付けになっており、お太鼓のワンポイントではなく結んでいただくと六通帯と同様の重厚さがございます。六通に比べると染めの面積が少ない為 コストパフォーマンスも非常によく お求めになりやすい価格でご提供させて頂く事が叶いました。
一般的にはお太鼓ポイント柄でお安く販売されているネット通販さんで198,000円前後です。また一般的な呉服店の催事においては、50万以上は絶対にするお品ですので非常にお買い得だと自信を持ってお勧めさせて頂きます。
これぞ人間国宝 玉那覇紅型と呼ぶに相応しい作風と、飽きが来ず幾つになってもお使いいただける色柄ですので お目に留まりましたら是非お手元にお迎えくださいませ。
※写真と実物とはモニターや画像処理の関係上、若干異なる場合がございますので予めご理解ください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページに設置のオプションからそれぞれの項目をご注文と同時にお選びください。
【お仕立てについて】
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てる
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけない
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て
※裏地の色はお任せになります。
(帯ガード加工)
・雨やお食事時にも安心のガード加工:3,240円
※国内手縫い仕立てです。
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