柳崇(やなぎそう) 吉野織
静かに佇む存在感
民藝美の世界
【製造者】柳崇(やなぎ そう)
【品質】絹100%(純国産 ぐんま200)
【染色】草木染(渋木)
【着用時期】袷・単衣の季節(9月頃~翌年6月頃)
全国に熱烈なファンを持つ、染織の匠”柳崇(やなぎ そう)氏"。民芸運動の父「柳宗悦 氏(やなぎ むねよし)」の美を継承する崇氏の作品は、原料である絹から糸作り、染色・織りに至る全てにおいて拘りと技術の粋が結集され、シンプルさの中に人の心を惹き付ける存在感を放ちます。
平織地の中に縦糸緯糸を浮かせて格子柄が表現された「吉野織」畝のように浮かび上がる格子柄の立体感が何とも表現し難い風格を漂わせます。
1色使いのシンプルさゆえに、草木染の奥深さや糸へのこだわりといった天然の力がダイレクトに伝わり心揺さぶられる感覚に満たされるのです。
一見シンプルに見える格子柄ですが拡大してご覧いただくと、計算されつくされた経糸緯糸が織りなす緻密な組織がお分かりいただけるのではないでしょうか。
民藝の父 柳宗悦 ~日常品の中にこそ美しさがある~
この絹布を語るうえで、柳家の歴史と信念を知らねばなりません。
柳崇(やなぎ そう)さんの染織の美にたいする根幹をたどると、民芸運動の父とうたわれる”柳宗悦氏(やなぎ むねよし)”に行きつきます。
明治の頃に志賀直哉、武者小路実篤らとともに雑誌「白樺」を創刊し、ロダンやゴッホといった西欧美術を世に紹介したのが同氏の民芸運動活動の始まりです。
「民芸」とはいったい何なのでしょうか。
民芸は、庶民の生活から生まれた日常品の中にこそ美しさがあるという発想から生まれました。
伝統的な手仕事の素晴らしさを悟った宗悦氏は、その民衆の伝統技術を調査するため全国を巡る中で「民衆的工芸」の略語として「民芸」という言葉を作り運動としました。
宗悦氏は、沖縄をはじめ全国各地の工芸品を調査する他、「行状のすぐれた念仏者」の研究にも力を注ぎ、浄土思想として仏教と結びつけて「民芸美術」の基盤としました。
「無名の職人が作ったものが何故美しいのか」それは「信と美」の深い結びつきにあるとし、その考えは仏教美術へと深まりました。
そしてその宗悦氏の思想を染織の分野で担ったのが同氏の甥である柳悦孝・悦博兄弟であり、その悦博氏の子にあたるのがこの作品を作り上げた”柳崇氏”です。
悦博氏はほとんど独学で染織を学び、彼に学んだ染織作家の多くは国画会や民藝館展などで活躍されています。
全国を廻り自分の目で工芸の仕事場を見たり、一枚の裂から技術を習得していった悦博氏の感性は、何物にもとらわれない自由な発想を生み出す能力を培い、弟子に対しても多くを教える事なく彼らの感性に任せて育てていかれたようです。
柳崇氏も『父に教わったことと言えば、染のやり方くらいで染織のことはあまり話してくれなかった』と語られています。
糸作りや色の配合の技術的なことは教えられても感性はその人それぞれが独自に持っているものであり、それは教えられるものではなく独自で生み出す・自由な発想の中から自然に生まれてくるという考え方なのでしょうか。
自由奔放な中にも柳崇さんの技法は、どんな小さな工程でも精巧な理論に裏付けられています。「理論を打ち立てて行動していくという気質」が柳一族の根幹にあり、その精巧な理論と生まれ持った才能ともいえる感受性が融合したからこそ人の心を動かす作品が生み出されるに違いありません。
糸を愛しむ
素材である絹糸への拘りも強く、柳氏のオーダーにより、群馬県で飼育された国産繭(ぐんま200と呼ばれる品種)を使用しています。
※現在日本国内で流通している純国産絹は全体の1%に満たないと言われるほどに希少なものとなってしまいました。
世界遺産にも登録されている「富岡製糸場」で一躍有名になった国産繭の産地、群馬県で養蚕された繭(ぐんま200)。
徹底した品質管理の下で飼育されたお蚕さんから吐き出された絹の繊維は、上質な光沢としなやかさを持つとともに、色の染付が良いのが特徴で、渋木で染色された薄ベージュの美しさを余すところなく伝えています。
この糸は「生引き(なまびき)」と呼ばれ、お蚕さんが生きたままの状態で繊維が引き出されています。
その生引きされた繊維に柳崇さん自身が撚りを掛けて精錬し、糸に仕上げられます。
この糸作りを習得するまでには最低でも3年の年月が必要とされ、最初の3年間は糸作りしかさせてもらえないほどだそうです。
常に良いもの・自分自身が納得のいくものを生み出すには妥協を許さない。それが柳崇さんのこだわりでもあります。
とことんまで拘った絹を自らの手で糸にし手織りされた絹布は、しっかりとした中にも優しい風合いが生まれると共に弾力性があり、機械で製織された織物では味わえない魅力が感じられます。
熟練した技能が有ってこそ手織りの良さを味わうことが出来るのです。
色と共に人生を歩む草木染の魅力
化学染料では感じることの出来ない草木染の魅力とは何なのでしょうか。
草木染料に混ざった天然の有機物が作用し、目の前に見える色の奥に更に重なり合った色が見えてくると言えばいいのでしょうか。
じっと見ているとそれが本当に何色なのかが分からなくなる感覚に陥ってしまい、それこそが草木染だけが持つ”色の深み”と言うものなのかもしれません。
そして草木染は日々色が変化していきます。しかしその歩みはあまりにも遅く目に見えて変わるものでは有りません。
草木染料は染められた後も歩みを止めず糸に浸透していくのだそうです。そして浸透するにつれて徐々に深みが増して色が変化していくのだと、柳さんに先日お会いさせて頂いた際に教わりました。
織物としてお客様の手元に渡ってからも日々成長していく草木染。その成長は実感できないかもしれません。しかし間違いなく貴女と共に人生を歩んでいるのです。身に着ければ身に着けるほど、時が経てばたつほどに愛着が湧いてくるに違いありません。
シンプルな1色使いの格子模様、様々な色柄の織の着物から染の着物まで幅広くコーディネートしてお楽しみいただけます。柳崇氏のファンの方は勿論、今回初めて柳さんの作品を目にする方にとっても生涯の宝物のような一点になるに違いありません。
滅多に手にすることが出来ない柳崇さんの極上の名品ですのでお目に留まりましたら是非お手元にお迎え下さい。
スポットガーデン 筑摩和之
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、オプションからそれぞれの項目をお選びください。
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【お仕立てについて】
※お仕立てをご依頼の場合には、オプションからそれぞれの項目をお選びください。
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【お仕立てについて】
お仕立て期間:約3週間
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てます。
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけない。
※胴巻の帯巾を広くとりたい方におススメです。
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て。
※裏地の色はお任せになります。
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て。
※裏地の色はお任せになります。
ガード加工
・雨やお食事時にも安心の撥水加工:3,240円
※国内手縫い仕立てです。