美しいキモノ2019年夏号掲載 吉田羊さん着用
ナチュラルアースカラーのテキスタイル風デザイン
ナチュラルアースカラーのテキスタイル風デザイン
型絵染作家 小沢美由紀の世界
栃尾生紬 夏生地の清涼感
単衣から夏の装いをちょっと贅沢にそしてお洒落に
【製作】小沢美由紀
【作品名】happa(はっぱ)
【品質】絹100%(栃尾生紬)
【着用時期】6月頃から9月(単衣 夏)
【長さ】約540cm
型絵染作家 小沢美由紀さんの作品 タイトル「happa(はっぱ)」その名の通り葉っぱの柄が染め上げられています。柄の題材としては特に珍しい物ではなく着物や帯の柄として植物をモチーフにしたものは多いですね。なのにこの作品は他にはない特別な魅力を持っているように感じるのです。ぱっと見のインパクトや華やかさが際立っているわけではないのですが一体その魅力は何なのでしょうか。言葉で上手く伝えることは難しいのですが 「側に置きたい安心感」とでも言いましょうか 雑味のないナチュラル感のような心地良さが伝わって来るのです。
生成り地にアースカラーでまとめられたの葉っぱが4色で表現されています。 この4色はほぼ均等のバランスで使われているですが それぞれの色が主張しているいも関わらず 見事に調和して 安心感という名の存在感をもたらしてくれています。それは空気のような目に見えない物ではなく視覚の中にあっての存在感で有り 安心感です。
そんな事を考えながら 作者である小沢美由紀さんの略歴を見ると「なるほど!」小沢さんは45才から型絵染の世界に入られたのですがそれ以前は雑誌やCMといったメディアの世界でフリースタイリストとして活躍されていたということなのです。そのスタイリストとしての感覚がこの色や構図の絶妙なバランスを生み出していたのです。45才にスタイリストから染織作家に転身とは異色とも言える経歴だと思うのですが その理由を是非尋ねてみたいものです。
栃尾紬 帯地
本品は新潟県長岡市を産地とする栃尾 生紬の夏・単衣生地が用いらています。縦糸緯糸に精錬されていないざっくりとした糸を使用し また透け感のある織は 夏の織物として抜群の清涼感を生み出しています。そしてタテヨコに現れる紬糸の節が素朴な温かみのある味わい深い趣を漂わせています。
※生紬とは・・絹はフィブロインという物質の周りをセリシンと呼ばれるタンパク質で覆っています。(お蚕さんを紫外線から守るため)このセリシンはざっくりとした風合いをもっていますので精錬という工程でセリシンを落とすのが一般的な絹糸です。この精錬をせず、または不十分にすることでセリシンを残した糸を生糸(なまいと/きいと)と呼び 製織された紬織物を生紬(なまつむぎ/きつむぎ)と言います。
本品は ざっくりとした風合いの生地で、緯糸に太めの糸が織り込まれており張りが有ります。
織り目が大きい隙間のある夏生地ですので通気性がよく透け感があります。
小沢美由紀
1965年静岡県沼津市生まれ
フリースタイリストとして雑誌・CM等に携わる
2010年から松江まち氏に師事し型絵染の世界に入る
現在 東京都世田谷にて制作をを続ける
個展「Laughing foret・笑う森」ギャラリーコンセプト21
グループ展「たのしきものたち」こんこんギャラリー
他 東京・茨城などでグループ展多数
平成29年 日本民芸館展 入選
型絵染とは
皆さんは「型絵染(かたえぞめ)」というジャンルをご存知ですか?
本作品を見て「紅型染?」と思われた方も多いのではないでしょうか。型絵染とは人間国宝 芹沢けい介氏(けい=金偏に圭 1895年-1984年)が沖縄の染物「紅型染」に魅せられ そして紅型染を参考にし 自らが考案し確立させた型染めです。
1人の作家さんが図案から型紙彫り 染色に至るまで一人で作品を作り上げます。彩色には紅型染同様「顔料」が用いられ友禅染とは明らかに一線を画する力強さが特徴的です。顔料は生地に浸透させるのではなく 生地の上に色素をのせることで染まります。鉱物性の性質ですので水に溶けずダイレクトに響く色が感じられるのです。
また、紅型染の場合は”隈取り”と呼ばれる重ね染めが施されるのが特徴です。
型絵染が紅型や江戸小紋といった他の型染めと異なるのがその自由な発想で生み出されるデザインの面白さです。
紅型染めも現在では若手作家さん中心に独自性のある柄を製作されるようになりましたが、基本は古典柄や沖縄の生活の中にある道具や自然の情景のデザインです。江戸小紋も鮫小紋や角通し 万筋他 様々な柄がありますが伝統的な柄が中心です。一方 型絵染には図案の縛りなど一切なく あくまでも作家さんの感性が自由なデザインを生み出し それぞれの個性が作品に色濃く表れて 好きな方なら誰の作品なのか一目瞭然といっていいでしょう。
民藝運動の父と謳われる柳宗悦氏を師と仰ぎ 染織の道を進んでいかれた芹沢けい介氏によって確立された型絵染は一つのジャンルとして国に認められ 1956年(昭和31年)国の重要無形文化財に指定され同氏は人間国宝に認定されました。自由な発想で作品を生み出していく独創性は後進に脈々と受け継がれ 現在においても着物愛好家に絶大な人気を博しています。
程良い柄の大きさや色使いは様々な色の着物ともコーディネートもしやすく 夏の紬や麻お着物との相性も抜群ですので夏のお洒落を是非お楽しみいただきたい一点です。
本品は美しいキモノ2019年夏号にて女優 吉田羊さんが着用されたズバリ品ですが未仕立ての状態で前帯を合わせて撮影しているだけですので折れ筋や傷など一切ございません。正規品・新品として販売しております。
※お仕立てをご依頼の際は仕立て上り後の垂れ先を無地にするか柄にするかをオプション選択からご指定ください。下の写真 左が無地に仕立てた時 右が柄に仕立てた時です。
琉球夏絣とのコーディネート>> 垂れ先無地
最後にこぼれ話
本品は雑誌掲載用の写真撮影中に販売予告ページを作成して公開しておりましたところ 一本の電話がお店に掛かってきました。
私「はい スポットガーデンです。」
相手様「サイトを見てお電話させていただきました。塩沢の着物と型絵の帯をご紹介されているページを拝見したのですが、その帯 私のなんです。」
私「。。。。えっ!」
一瞬意味がわからず。。「私の帯。。」とは?
そして直ぐに理解できました。そうです 作者である小沢さんからの電話だったのです。キモノ雑誌に掲載予定と記載していましたのでその確認で2,3会話しただけだったのですが、以前に沖縄の花織作家 宮良せい子さんからも突然お電話を頂いこともあり 作家さんの行動力や好奇心はやはり私のような凡人とは比較にならないくらい強いのだと改めて実感しました。
しかしその時 小沢さんにこの作品のことなど尋ねれば良かったと後になって後悔。。。本作品の商品説明記事は完全に私の主観であり実際に制作された小沢さんの思いとはかけ離れているかもしれません。そしてこの商品説明をご本人がご覧になっているかもしれないと思うとプレッシャーを感じてしまいます。。
しかしとてもお洒落で素敵な帯であること自体に変わりはございませんので自信を持って皆様にオススメいたします。
夏の装いを 作家さんの雑誌掲載コーディネートで少し贅沢に そしてオシャレに着こなしてみてはいががでしょうか。
※写真と実物とはモニターや画像処理の関係上、若干異なる場合がございますので予めご理解ください。
※価格にお仕立て代は含まれておりません。
※お仕立てをご依頼の場合には、本ページに設置のオプションからそれぞれの項目をご注文と同時にお選びください。
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【お仕立てについて】
※垂れ先を柄で仕立てるか無地で仕立てるかをオプション選択からご指定ください。
※本品は夏用の帯芯を使用させていただきます。
【九寸名古屋帯】
1「名古屋帯仕立て」5,400円
手先からお太鼓までを半分に折って芯を入れて仕立てる
※最も一般的なお仕立て方法です。
2「開き仕立て(裏地無し)」9,720円
手先を半分に折らずに全て平らにして芯を入れて仕立て、手先から胴巻きの部分に裏地をつけない
3「開き仕立て(裏地付き)」12,420円
2の開き仕立てで裏地(モス)をつける仕立て
※裏地の色はお任せになります。
(帯ガード加工)
・雨やお食事時にも安心のガード加工:3,240円
※国内手縫い仕立てです。
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